Metaが狙う「空間コンピューター時代」の覇権 次世代プラットフォームで支配的ポジションへ

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Meta Platformsによると、VRデバイスやその拡張であるMRデバイスが、自宅やオフィス、出先のカフェなどで使うパーソナルコンピューターだとするなら、ARデバイスはもっとユーザーに近いスマートフォンのようなデバイスだと説明する。

どちらか一方が重要なのではなく、両者ともに将来の空間コンピューティングの時代には利用シーンに応じて使い分けられるものということだ。

この節目を境に、その投資は報われるかもしれない。彼らが投資している大規模言語モデルなどのAI技術や、レイバンとの提携で開発してきたスマートグラスなど、さまざまな方面に展開していた彼らの戦略は、そう遠くない未来にひとつに交わろうとしているように見える。

10年の集大成といえるメガネ型XRデバイス(筆者撮影)

Quest 3Sで狙う拡販の”その先”

Meta Quest 3Sは299ドルから購入できるMRデバイスとして、新たに投入された普及価格帯の製品だ。低コスト化するため、いくつかの工夫がされている。例えば空間認識に使う距離センサーは省略され、ディスプレイやレンズもQuest 2と同等のものが使われた。

それでも体験の質は高く、最上位のQuest 3と同等となっている。MRの特徴である現実空間のVRディスプレイ内の再現も、ほぼ同じレベルだ。

加えて採用するチップは最新版であり、Quest 3とも同一に揃えられているため、開発者はパフォーマンスの違いを意識せずにアプリケーションを作り込める。

かつては“1ドル=100円”感覚と言われたこともあったが、インフレの影響もあって299ドルのプライスタグは日本での3万円よりも安く、2万円台の半ば以下に感じる設定。ホリデーシーズンの手軽なプレゼントにぴったりの価格帯だ。

Meta Platformsが提供しているメタバース空間の「Horizon Worlds」では、常に若年層が集い英語やスペイン語での会話が飛び交い、多様なコンテンツが集まっている。日本市場から見る景色からはやや乖離していると感じるだろうが、この価格帯での本格的なMRデバイスの登場は、デバイス普及の大きなきっかけになるだろう。

実はゲームデバイスとしてのQuestには、大ヒットしたリズムアクション『Beat Saber』以来最大のキラーコンテンツが生まれている。『Gorilla Tag』は、ゴリラになりきってゴリラコミュニティの中に入り、世界中のゴリラになりきったプレーヤーと交流するゲームだが、今年に入ってブレイクすると、すでに1億ドル以上を売り上げた。

大人数が集まるネットゲームだけに、低価格モデル投入のタイミングと相まって普及のきっかけになるかもしれない。

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