「内戦や武力衝突リスク」を左右する「3つの特徴」 2度目の紛争を回避した国の多くが持つ志向性

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

モザンビークは1992年に内戦を終結させ、一党支配から多党制選挙に移行してから、まさにその動きを見せている。リベリアは2003年に紛争を終結させてから、大統領権限を政治的に制限し、司法の独立性を向上させた。透明性の高い参加型政治環境を創出し、行政府権限制限に成功した国ほど、暴動の再発率は低下している。

3つの特徴

統治能力の質的向上とは、経済状況の改善よりはるかに意味を持つ。世界銀行委託による別の大規模調査では、ジェームズ・フィーロンが経済問題を担当した。

ある富裕な国が、その専門家が予測するよりお粗末な政府しか持ちえなかった場合、「内戦勃発リスクは著しく高い」事実が見出された。すなわち、アメリカのような富裕国は、1人当たり所得に変化が見られなかったとしても、政府が無能化し、さらに腐敗が進むと、武力衝突に至る危険は高くなる。

同研究がなされるまで、私たちはアノクラシー(専制国家と民主国家の中間にある状態)が内戦リスクを高めるところまでは把握していたが、理由を正確につかむには至っていなかった。

アノクラシー国家が弱い理由とは何なのだろうか。別の観点からすれば、民主主義のどの機能がより重要性を持つのか、あるいは重要性を持たないのか。フィーロンの調査では、「あらゆる良きものは共通の傾向性を持つ」との発見があったが、中でも次の3つの特質が際立っている。

①「法の支配」(法的手続きの平等かつ公平な適用)、②「言論の自由と説明責任」(市民が政府の選択に参加しうる程度の表現、結社、報道の自由)、③「政府の能力」(公共サービスの質、公務員の質と独立性)、である。

これら3つの特質は、国民に対して政府がどのような貢献をなしているか、政治制度がどの程度強靭で合法的、かつ説明責任を果たしているかを示している。統治能力が改善されれば、その後の武力衝突リスクは低下していく傾向がある。

次ページ民主主義におけるアカウンタビリティの中心とは
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事