「第2の南北戦争」という「内戦」を回避できるのか 白人支配終焉と「憎悪の火に油を注ぐ」極右政党
白人が少数派に
アメリカ建国の父たちは、望むならどのような政治体制でも構築できたに違いない。ジョージ・ワシントンを国王にして貴族制を確立したり、あるいは広大で肥沃な農地を分けて、自身を領主とすることだって。
でも、彼らはそうしなかった。民主主義をつくるとの断固たる決意があったためだ。もちろん民主主義は古代ギリシア人による理念の中や、ヒューム、ロック、ルソーなどの政治哲学的著作の中に存在してはいた。それでも現実のものにはなっていなかった。かくも広範な領土で、かくも多数の人々が自らを統治する民主主義を試みた国は存在しなかった。
『フェデラリスト・ペーパー』の筆者であるマディソン、ハミルトン、ジョン・ジェイ─。州権力と連邦権力、多数派による専制の防止、破壊的党派の脅威など、新国家がやがて直面するに違いないあらゆる局面が検討された。彼らは、この新しい国が、どれほど多事争論、取り扱いが厄介で、かつ対立が日常となるかを十分に予期していた。それでもなお、より良き、より自由な世界を信じて、一歩一歩着実に前進した。
むろん数百万もの人々が信じるもう一方の視点からすれば、それは悪夢にほかならなかっただろう。この国は財産を保有する白人のための国家だ。建国者自らが奴隷所有者であって、奴隷が権利や自由を手にしうるなど考えもしなかった。実際、彼らは奴隷を完全な人間とは見なしていなかった。あるいは、土地を所有しない白人労働者が公職に就くなどとんでもないことだった。寛容ではあったのかもしれないが、あくまでも当時の基準でのことだ。
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