「第2の南北戦争」という「内戦」を回避できるのか 白人支配終焉と「憎悪の火に油を注ぐ」極右政党

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真の多民族的民主主義実現のためには、国家はいくつもの深刻な危機を乗り越えなければならない。民主主義を強め、アノクラシー・ゾーンを脱し、SNSを適切に規制することで、派閥主義を抑制しなければならない。そうして初めて、第2の南北戦争を回避する曙光が見えてくるだろう。

あるいはもう一つの脅威たる気候変動にも有効な手が打てるかもしれない。地球温暖化は、自然災害の深刻度を増しており、沿岸部諸都市を危険に晒すとともに、熱波、山火事、ハリケーン、干ばつを引き起こしている。南半球から、白人国家が多くを占める北半球への移住も確実な増加を見るであろう。有効な政策を打ち出すのに手をこまねくなら、社会基盤は突き崩されることになるだろう。

私の教室にやってくる学生は課題を十分に理解している。結果、彼らはインスピレーションを受けとめて、何か行動を起こそうという気になる。彼らは、アメリカン・ドリームの新世代である。気が滅入ってくると、私は彼らのことを思い出す。世界を変えようと決意した第1世代の学生たちに満たされた教室。それほどまでに颯爽たる場はちょっと考えられない。

アメリカへの深い敬愛の念

夫のゾリと私は2020年12月にパスポートを更新した。もちろんアメリカを離れようとは思わない。私はよそへ脱出するには、あまりにこの国への深い敬愛の念を捨てきれずにいる。アメリカが世界の牽引役なら、カリフォルニアは全アメリカの牽引役である。私たちはこの場にとどまって転換の助力をなしたいと願う。アメリカは歴史の終局点に立たされているわけではないと信じる。むしろ刮目すべき新時代の始点に立っているのである。

アメリカの国璽“E Pluribus Unum”(多から1へ)を実行に移すうえで、千載一遇の好機に、今私たちは立っている。

バーバラ・F・ウォルター カリフォルニア大学サン・ディエゴ校政治学教授

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Barbara F. Walter

カリフォルニア大学サンディエゴ校政治学教授。シカゴ大学政治学M.A.およびPh.D.取得。国際安全保障の権威であり、内戦、非通常型暴力、交渉と紛争に重点を置いている。オンラインマガジン「Political Violence at a Glance」を運営。『ワシントン・ポスト』『ウォールストリートジャーナル』『ロサンゼルスタイムズ』『ロイター』『フォーリン・アフェアーズ』への寄稿多数。『アメリカは内戦に向かうのか』は、原書刊行時に『フィナンシャル・タイムズ』『サンデー・タイムズ』『エスクァイア』の2022年ベストブックに選ばれている。

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