「新しい封建制」の到来から私たちは逃れられない ローマ帝国末期を想起する都市衰退と人口流出
最大の被害者は労働者と中流階級
本来、自分の主張の正しさが出来事によって裏付けられることは、著者にとって何よりの喜びであるはずなのだが、2020年に本書を書き終えて以来、私が目にした事態に喜びを見いだすことは難しい。
この2年間の重要な出来事、すなわち新型コロナパンデミック、世界の主要都市における混乱の拡大、ロシアによるウクライナへの残虐な帝国主義的戦争などはいずれも、私が本書の執筆を始めるきっかけとなった自由民主主義からの後退を証明するものであった。
COVID─19への正しい対応のあり方については議論の余地があるものの、実際問題として、今回のパンデミックは、アメリカのみならず世界中で、寡頭支配を続けるエリートとその他大勢のあいだの格差を広げた。最大の被害者は、どこの国でも労働者・中流階級であった。
レストランや接客業など一部の業界は、さまざまな小規模事業者と並んで、特に深刻な影響を受けた。パンデミックの発生から2年余り経った2022年4月時点でも、アメリカ国内の中小企業の3分の2は苦境に立たされており、数十万社が閉鎖に追い込まれた。特に貧困層や労働者階級の子どもたちは、学習機会を奪われ、社会的孤立に苦しんだ。
一方、大卒でホワイトカラー職にあるリモートワークが可能な人たちは、それほどの影響は受けなかった。
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