"すべては眠りのため"ホテル「レム」に見る本気度 発祥は日本、加速する「進化系ビジネスホテル」

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しかし、現在の一般的な大規模ビジネスホテルの創始者は、実業家であり政治家でもある小林一三氏といわれています。阪急電鉄をはじめとする阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者としても非常に有名です。

鉄道を中心とした都市開発や流通事業、観光事業などを一体的に進めながら、相乗効果を上げる私鉄経営モデルの原型を独自に作り上げ、日本の鉄道会社の経営手法に大きな影響を与えました。

1938年、東京の新橋駅近くに完成した「第一ホテル」は、全室冷暖房付きの客室で600室以上の客室を有していました。これが現在のビジネスホテルの原型といわれています。

この第一ホテルは高度経済成長の波に乗り、ビジネスホテルの有力ホテルチェーンになっていきました。しかし、1993年に高級路線の「第一ホテル東京」を開業後、平成不況などの荒波に飲まれ、現在は阪急阪神第一ホテルグループの一員になっています。

ビジネスホテルのブームは、高度経済成長期に入った1960年代後半、出張需要の高まりとともに訪れました。

1970年代後半になると、「東急イン」「ワシントンホテル」「ホテルサンルート」などのチェーンが誕生し、全国展開を加速させます。従来の旅館とは異なり、宴会場や会議室、レストランなどの設備を最小限に抑え、「宿泊に特化」した点が特徴でした。

これが現代的なビジネスホテルの原型となり、現在に至るまで日本の宿泊業界において重要な役割を担っています。特に、バブル崩壊後の1990年代になると、「ホテルルートイン」「アパホテル」「東横イン」に代表されるようにコストメリットを武器に勢いを増しました。

2000年代に入ると、客室グレードなどを高めた「三井ガーデンホテルズ」「リッチモンドホテルズ」「ダイワロイネットホテルズ」「ホテルグレイスリー(藤田観光)」の開発が全国的に進みます。

近年では、コアグローバルマネジメントやネストホテルなどの新興系のホテルの活躍が目立ってきています。

進化系ビジネスホテル

最近は、シティホテル並みの高級感を出した「進化系ビジネスホテル」が増えています。

その理由は2つあります。

1つ目の理由は、ホテル経営者目線からいうと、ビジネスホテルはまっとうにやれば堅実な利益が出るビジネスモデルであることです。

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