父が狩る「大ネズミ」の唐揚げを食べる家族の日常 狩猟シーズンはほとんどスーパーで肉を買わない
トレーに入っている肉はとても便利
鹿やイノシシが丸ごと一頭手に入ると、やったあ、これでしばらく生きられる、と素直に嬉しい。解体のときも食べるときも、自然にみんながニコニコして沸き立っている。でもそれは、日常の光景ではない。狩猟で生計を立てているわけではなく、あくまでスペシャルなことだ。
矛盾したことを言うようだが、売られている肉はおいしい食べ物だ。鶏肉の唐揚げ、豚肉と青菜の炒め物。昔から慣れ親しんできた味は、私たちをほっとさせる。皮肉にも、野生肉を食べていたら、そのことに気がついた。
文祥が不在の夜。ブラックコユキが舞い降りてきて、いそいそと豚バラ肉と白菜の鍋を作る。子供たちが「豚肉ってさ、よくできているよね」としみじみと言った。確かに、と私は力強くうなずいてしまう。


















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