5位に東京大学が山梨大学と同順位にランクイン(6.2%)。東大の学生納付金は165億円で経常収益2663億円の6%強にすぎない。国からの運営費交付金収益は799億円、附属病院収益546億円。ほかに受託研究収益508億円、共同研究収益181億円、寄付金収益163億円もある。
東大が授業料だけでなく入学金、検定料すべて20%増やしたとしても33億円(165億円×20%)程度の増収にすぎない。
慶応義塾の伊藤公平塾長が言う「国立大の授業料を年間150万円に」はほぼ3倍の水準だが、そうすれば495億円で運営費交付金収益の6割程度にはなるが、それでも値上げ効果は限定的と言わざるを得ない。抜本的な「教育環境の整備」を行うのであれば、他の方法での収入増が必要になるのは間違いない。
以下、7位政策研究大学院大学6.4%、8位東北大学、奈良先端科学技術大学院大学の2校で7.1%、10位筑波技術大学7.2%と続く。
授業料の値上げでは財政状態は劇的に変わらない
ちなみに最下位は86位の埼玉大学で38.7%。130億円の経常収益のうち50億円を学生納付金に依存している。同大も運営費交付金収益は58億円と国からの支援は少なくはない。授業料などを20%値上げしても10億円には届かない。全体から見ると大きな増収にはならないだろう。
このように国立大学の学費を10万円程度増やすだけで、財政状態が劇的に改善することはなさそう。まずは国立大学のあるべき姿を考え、国からの運営費交付金増額や学外からの受託研究費・受託事業増や寄付増加など、国立大学の財政基盤向上にはほかの方法を組み合わせて検討していく必要があるだろう。さて、次回は経常収益に占める運営費交付金収益の比率を見ていく。
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