ディズニーストアの英断「商品数8割減」の勝ち筋 きっかけは「何も買わなかった」客への調査から

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お店の出口で、お客様にインタビューをしたわけです。しかし、「買った人」にしたのではなく、「買わなかった人」にしました。買った人が何を買ったのかはお店のほうで把握していますから、出口調査というのは買わなかった人にすることに意味があるのです。

そして、買わなかったお客様にどうして買わなかったのかを尋ねていくと、およそ半分ぐらいの方が「買いたい商品が見つからないから」と答えたのです。

商品数を8割削って、買い上げ率が20%に向上

当時は、あまり接客もしていなかったので、SKUが多いと商品すべてを均等に発注するため、売れ筋は早く在庫切れになり、売れ筋でない商品は大量に売れ残り、おまけにお客様は自分の欲しいものがどこにあるのかがわからないという状況に陥ってしまっていたのです。

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そこで、当時はかなり社内で反対を受けたのですが、1万点から1500点ほどまで、約8割の商品を削って、SKUを大幅に減らすことにしました。

それまでは、キッズ向けの商品とアパレルがメインだったのですが、アパレルはサイズをすべて置かないといけないのでスペースを取りますし、SKU自体を増やしてしまいます。ですので、子ども向けとアパレルを縮小し、代わりにYAF向けの雑貨を増やした上で、SKUを絞るようにしました。

「YAF」とは「ヤング・アダルト・フィメール」の略称で、「若い大人の女性」という意味です。つまり、20代の日本の大人の女性たちをコアターゲットにしたのです。

なお、日本のディズニーストアは、現在YAFをターゲットにした専門ストアを約40店舗展開しており、すべてにおいてYAFの女性が楽しめる空間作りがなされています。しかも、そのストアで販売されている商品の実に9割以上が日本のオリジナル商品なのです。結果的にこの改革と、(紙幅の都合でここでは詳述しませんが)接客の強化によって、買い上げ率が20%にまで上がるようになったのです。

中澤 一雄 株式会社KUREYON代表取締役

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なかざわ かずお / Kazuo Nakazawa

1950年、奈良県生まれ。同志社大学工学部電子工学科卒業後、1973年4月、日本マクドナルド(株)に入社。米国マクドナルド社本社に3年間勤務。1999年、ディズニーストア・ジャパン(株)に入社。2004年、日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)取締役執行役員常務に就任。2008年4月、ウォルト・ディズニー・ジャパン(株)のライセンス部門・コンシューマープロダクツ日本代表に就任。2016年8月より、ウォルト・ディズニー・ジャパン(株)の各事業部門の統括責任者として、シニアゼネラルマネージャー/シニアバイスプレジデントに就任。2018年1月より、ウォルト・ディズニー・ジャパン(株)の相談役に就任。2018年6月、大幸薬品(株)の社外取締役に就任。2019年9月、常勤監査役に就任。2020年6月、専務取締役に就任。2022年3月に退任し、2024年現在、複数の上場企業の顧問を務める。また、コンサルティング会社(株)KUREYONを立ち上げ、代表取締役に就任。著書に『外資の流儀 生き残る会社の秘密』(講談社現代新書)がある。

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