ディズニーストアの英断「商品数8割減」の勝ち筋 きっかけは「何も買わなかった」客への調査から
外食では、人間の胃袋には上限がありますので購入点数にはおのずと限界が設けられますが、物販の世界には購入点数の上限は基本的にありません。
つまり、1人のお客様にできるだけ多くの点数を買っていただければ売上もアップしていくことになります。
買い上げ率と購入点数の両方を上げるためには、適切なロケーションを見つけて入店者数を上げた上で、接客の質を向上する必要があります。
外食産業と物販業にはさまざまな違いがあるものの、ロケーションが大事ということに関しては共通していました。マクドナルドと同じく、ディズニーストアも1にロケーション、2にロケーション、3、4がなくて、5にロケーション。それくらいロケーションは売上を左右するのです。
商品を「広く浅く並べたほうが売れる」は間違い
そして、買い上げ率や購入点数と同じくらい重要なのがSKUです。SKUとはStock Keeping Unitの略称で「在庫管理の最小単位」のこと。もっとわかりやすくいえば、その企業が販売している商品点数のことです。
物販業に携わったことがある人なら、誰もが「広く浅く商品を並べたほうが売れるのか」、それとも「狭く深く商品を並べたほうが売れるのか」という問題について1度は考えたことがあるのではないでしょうか。
多くの物販業者は、「広く浅く並べたほうが売れるのでは?」と考えてしまいがちです。しかし、これは間違いです。
ディズニーストアも、かつてはキッズ・ファミリー向けのSKUを1万点近く用意していました。とにかく購入点数を上げてもらうために、関連グッズをたくさん作ってSKUを多くする戦略を採ったのです。
ところが、これは明らかに多すぎでした。SKUを多くすると、広く浅く陳列することになり、売れ筋の商品ほどすぐに在庫切れを起こしてしまいます。お客様が欲しいと思っている商品ほどすぐになくなるわけですし、売れ筋以外の商品が売れ残りやすくなるのでまったく非効率的です。
一方、SKUを絞れば、お客様は自分の欲しい商品、売れ筋の商品を探しやすく、店側は狭く深く仕入れているわけですから、在庫切れを起こしにくくなります。
私がディズニーストアで働き始めてから、このSKUを絞る必要性に気づいて1万点から1500点にまで絞り込むことになりました。SKUを絞る必要性に気づいたのは、お客様への出口調査がきっかけでした。
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