進化したJR四国の振子特急、2700系「南風」の実力 出力も設備もランクアップした最新の気動車

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2700系は、これに先んじて少数が作られた2600系や電車の新型車両として誕生した8600系と同様、2000系気動車や8000系電車から多くの世代的変化が見られる。

グリーン車の座席はレッグレスト付きで、気持ちよくリラックスできる。普通車座席でも座面がリクライニング機構と連動している。モバイル機器用コンセントは全席装備(8000系電車リニューアル車では指定席は全席、自由席は窓側のみ新設)、車いすスペースや大型荷物置き場も用意された。2800形に多目的室、2700形に多機能トイレがある。

逆に振り返れば、2000系世代ではこれらは標準装備ではなかった。トイレも、往時は「地方の実情」から和式と考えられていた点に時代を感じる。その一方、グレー基調のシンプルな内装や、土地の工芸を感じさせる座席生地などはこれまでを継承した印象だ。

四国フリーも購入できる「スマートえきちゃん」だが…

岡山を発車すると、JR西日本の宇野線区間は複線化された部分もあるが基本は単線のため、さっそく行き違いの運転停車がある。朝は列車が多いせいか、その後もやや抑え気味の走り方が続き、高性能エンジンを響かせての本格的な高速走行は、茶屋町から瀬戸大橋線の名に似合った複線高架の新線区間に入ってからとなった。

最初の停車駅の児島から先がJR四国の区間。鷲羽山トンネルを抜けて瀬戸大橋の上に飛び出す。朝の光に潮の流れがさざめき立ち、それこそ目が覚めるように美しい。鉄橋のトラス越しに大小の島、そして航行する船を眺めること約6分で四国へと渡った。

この際、児島着発に前後して筆者はスマホの「しこくスマートえきちゃん」を立ち上げた。これはJR四国が独自開発したスマホアプリであり、無料会員登録をするとウェブ上で近距離乗車券から自由席特急券、おトクなきっぷ、定期券まで買うことができ、チケットレスで乗車できる。

私が購入したのは「スマえき四国フリー」(1万8000円)で、3日間自由に乗降、特急自由席も随意に利用できる(指定席利用は別途特急券が必要。サンライズ瀬戸には乗車できない)。ウェブ販売だからどこでも買えて、四国内の駅で紙券に交換する必要もないから、岡山からダイレクトに入るにも好都合。ただ、他社区間はカバーしていないので、東京―児島間は別途ふつうに往復乗車券を用意しなくてはならず、新幹線特急券や岡山―児島間の自由席特急券を買う手間がいるのは煩わしい。

児島よりJR四国のエリアに入り鷲羽山の下を抜けると雄大な瀬戸大橋。最初の吊橋は下津井瀬戸大橋(写真:久保田敦 )
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