高級ホテルの顧客が通う「銀座の高級寿司」の実際 「銀座寿司幸」が140年繁盛している納得の理由

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そうした徹底した管理と客の需要へのきめ細かな対応の結果、現在も経営は順風満帆、繁盛店であり続けている。現在の悩みの種といえば、“働き方改革”の問題だそうだ。今は、2~3年の修業で独立している若い衆も多いけれど、やはり10年は修業しないと本当の意味での技術が身につかない。

また、昔なら早朝に河岸に行って、夜遅くまで働いたわけだが、労働時間が8時間と制限されている今、そんなことをしたらたちまちブラック企業のリストにのってしまい、若い子が誰も来なくなってしまう。

しかし、「週5日1日8時間では足りない」というのが本音だ。修業というものは、一時期、寝食を忘れて打ち込むくらいでなければ、一生ものの技術は身につかないのである。

海外から出店の誘いもあるが日本に集中

「次世代にどう残していこうかというのが経営プランの中の大きな柱です。これ以上大きくしようというのではなく、働く側にも客の側にも居心地のいい形でやっていこうというのが経営理念です」と杉山氏は語る。

「聞いた話ですが、韓国は100年企業が極端に少ないのだそう。それは、急速な右肩上がりを求めるからだとか。海外に店を出す話も100回以上ありましたが、早い時代から、海外との仕事もやってきて、海外でやることの難しさをよくわかっていますから、すべてお断りしました。

日本店をたたんで、海外に移り住み、私一人でやるのなら収入は倍になるだろうけれど、社長としてやるには、出張に1回100万かかることだけを考えても、3~4軒経営しないと割が合わない。それでは日本の方が手薄になってしまいます」とも。

こうした堅実な考え方の上に立つ、先見の明、そして運のよさが、100年以上続く繁盛店の背景にはあるのだ。

小松 宏子 フードジャーナリスト

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こまつ ひろこ / Hiroko Komatu

祖母が料理研究家の家庭に生まれ、幼い頃から料理に親しむ。雑誌や料理書を通して、日本の食文化を伝え残すことがライフワーク。近刊に『トップシェフが内緒で通う店150』(KADOKAWA)。

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