居酒屋のチンチロ、実は「客も店も得」な数学的理由 現役東大生が「確率」を実際に計算してみた

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サイコロを2つ振ったときに「ゾロ目」「和が偶数」「和が奇数」となる確率をまず求めます。サイコロの出目は1から6までで6種類あることから、2つのサイコロの出目の組み合わせは6×6の36通りであることがわかります。

その中で2つの出目が同じ(ゾロ目)となるのは、

(1,1)(2,2)(3,3)(4,4)(5,5)(6,6)

の6通りであるため、ゾロ目になる確率は、

6/36=1/6

となります。同様に、ゾロ目以外で和が偶数になるのは出目が、

(1,3)(1,5)(2,4)(2,6)(3,1)(3,5)(4,2)(4,6)(5,1)(5,3)(6,2)(6,4)

の12通りであるため、和が偶数となる確率は12/36=1/3より「3分の1」となります。奇数も同様に考えてもよいですが、サイコロの出目の和は必ず偶数(ゾロ目も含む)か奇数のどちらかになるため、全体を表す確率1から、「3分の1」と「6分の1」の両方を引くことで求めることができます。

つまり、出目の和が奇数になる確率は、

1-(1/6+1/3)=1/2

となります。

直感的には「偶数」と「奇数」は確率が同じように感じられますが、ゾロ目が必ず偶数になることから、この3つの中では「奇数」の確率が一番高くなるようになっているのです。

期待値を計算してみる

さて、それぞれの出目の確率がわかったところで、チンチロゲームを行った際の1杯あたりの値段の期待値(平均値)について考えていきましょう。

ドリンクの量や値段はお店によって異なりますが、計算を簡単にするために今回は1杯400円のドリンクで計算します。すると、

出た目が同じ(ゾロ目):1杯0円
出た目の和が偶数:1杯200円
出た目の和が奇数:2杯800円(1杯あたり400円)

となります。期待値は、それぞれの値段とその値段に決定される確率をかけ合わせることで求められるため、今回の場合は、

0×1/6+200×1/3+400×1/2=266.66…

となり、1杯あたり平均260円ほどで飲めるという計算になります。元々の値段が400円であることを考えると、チンチロをやったほうがお得に飲めることがわかります。

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