居酒屋のチンチロ、実は「客も店も得」な数学的理由 現役東大生が「確率」を実際に計算してみた

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

では、お店側はなぜ「Win」なのか。それは、「1杯」あたりではなく「1回の注文」あたりでの値段を考えると見えてくるのです。

居酒屋では基本的に、1回あたりに1人1杯ドリンクを注文します。「グラス交換制」という、前のドリンクを飲み終わってから次のドリンクを頼むルールを設定している居酒屋も多いです。

そのように考えると、お店側にとって重要なのは「1度のオーダーで、どれだけの売り上げが得られるか」という観点なのです。

チンチロを実施したほうが店の収益に効果的

先ほどと同じチンチロのルール、そしてドリンクの値段で、1回の注文あたりの値段を考えると以下のようになります。

0×1/6+200×1/3+800×1/2=466.66…

チンチロを行わない場合は1回の注文あたりの値段は400円となるため、チンチロを行ったほうが注文あたりの売り上げの平均値は大きくなることがわかります。つまり、お店の売り上げ的にもチンチロを実施したほうが効果的なのです。

居酒屋におけるお酒の原価率は低い傾向にあり、仮にチンチロで奇数が出て2倍量のドリンクを提供することになっても、原価はそこまで上がらないのです。売り上げ増加による利益の増加のほうが大きいと判断し、多くのお店でチンチロが導入されているのでしょう。

世の中には、このように視点を変えて考えてみると違った答えが見えてくるもの、仕組みが多く存在しています。そんな仕組みを俯瞰するために、数学は役立ちます。

永田 耕作 現役東大生・ドラゴン桜チャンネル塾長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながた こうさく / Kosaku Nagata

現役東大生。2001年生まれ。 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属し、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。現在は株式会社カルペ・ディエムの教育事業部に所属し、全国の学校や自治体で講演会を実施しながら、まとめた知見を記事や書籍など紹介している。https://twitter.com/NagataKosaku08

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事