【産業天気図・工作機械】牽引役の中国向け受注が伸び悩み。円高や世界経済の減速受け、「晴れ」から「曇り」に後退
11年10月~12年3月 | 12年4月~12年9月 |
工作機械業界の景況感は、2012年3月までは「晴れ」を維持するが、同4月~9月は「曇り」へと後退しそうだ。リーマンショックからの回復を牽引した中国需要が伸び悩んでいるほか、製造業各社の設備投資が一巡する懸念がある。円高や世界経済の減速も懸念材料だ。
日本工作機械工業会(日工会)が月次で発表している工作機械受注額は、2011年6月にリーマンショック後の最高値である1239億円を記録した後、ゆるやかに減少。8月には、8カ月ぶりの1000億円割れとなる989億円まで落ち込んだ。
最大の原因は、アジア向け受注の伸び悩みだ。中でも、リーマンショック以降、右肩上がりの成長を続けていた中国からの受注が、金融引き締めによる中小企業の資金繰り悪化を受けて減少。10月に入っても、11年前半の実績を下回る低水準で推移している。
加えて、足元の円高も各社の収益を圧迫しつつある。森精機製作所は11年4月~9月期(上期)決算の発表時に、通期の業績予想を修正。売上高の予想を、従来の1450億円(前期比20.4%増)から1520億円(同26.2%増)に上積みする一方、営業利益は80億円(同25倍)から63億円(同18.7倍)に下方修正した。
牧野フライス製作所も、営業利益の予想値を、70億円(前期比2.4倍)から62億円(同2.1倍)に減額している。想定を上回る円高進行を受け、為替の想定レートを見直したことが最大の要因だ。