ユニクロができていない「基本中の基本」 セミオーダーシャツに大問題が隠れていた
詳しくは図表にまとめたのでぜひご覧いただきたいのですが、計測値がすべての店できっちりそろうことはないにしても、店ごとの誤差は決して小さくありません。あるお店では、ジャケットを身に付けたまま胸囲と腹囲を採寸され、これには同行した同業者も驚いていました。また、ある店では裄丈の計測が明らかに異常値。そのままオーダーが通るのかわかりませんが、自分の体にはとても合わないサイズの商品が手元に届くこともありえます。
他に気になったのは、専用のサイズ記入表を準備してある店もあれば、スタッフが自身の手帳にメモをして、申し訳なさそうに破いて手渡してくれた店もあってマチマチだったこと。さらには、採寸サービスが始まって4日も経ち、目の前に店頭POPがあるにもかかわらず、採寸サービスの存在を把握していないスタッフがいたことなどです。
どの数値でオーダーすればいいのか
違うブランドならばまだしも、同じブランドでありながら、各店舗それぞれの異なる採寸方法、かなりバラバラの数値。これでは、いったいどの数値を頼ってオーダーして良いのかが一般のお客は判断に迷います。
正直、どのユニクロも店舗スタッフは朗らかで、ハキハキとした対応が心地よく、また「またこの次も、あなたにお願いしたい」と思わせてくれる人たちばかりでした。でも、これは放置できない問題です。なぜなら、これはユニクロの店舗スタッフにアパレル店員としての基本的な教育がなされていない、という疑いすらあるからです。
メジャーを使用する採寸は、アパレル店員が押さえておくべき「基本中の基本」。素材への知識や商品ごとのセールストークを身に付けるのは、その次です。正しい採寸ができないことは、セミオーダーで厳密な数値を測れないだけではありません。そもそも既製品であっても、すべてを試着できるワケでもなく、時間がないかもしれません。極端な話かもしれませんが、お客にサイズを聞かれて不適切な品を薦めてしまうことすらありえるのです。
正しい採寸方法の伝授は入社時教育、あるいは入店時教育の一つとしてほんのわずかな時間を割いて指導すれば、すんでしまうでしょう。理想をいえば、店舗で店長なり先輩社員が気を利かして、それぞれ独自に教えることができればそれに越したことはありません。
しかし、ユニクロほどの巨大企業が各店舗のノウハウ、自主性に頼っていたのでは収拾がつきません。ここはやはりユニクロ本部が今回のセミオーダーの取り組みを良いタイミングとして、全店舗共通の採寸方法を決めて、通達しておくという手があったはずです。
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