出撃後ほぼ「全滅」日本海軍潜水艦の最大欠点 攻撃をかわす長時間潜航が可能な空調があったら…

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これは、名古屋経済大学の中西昌武教授が「厄介な乗り物としての潜水艦(2)」としてまとめている。日本の潜水艦では1時間あたり0.2~0.3%の割合で二酸化炭素濃度が上昇する。そのため、長くとも35時間後には失神濃度の7%に到達する。

その頃には湿度100%のままで室内温度も40度を超えている。そのままでは窒息死、ないし熱中死してしまう。だからアメリカ駆逐艦との砲戦を覚悟のうえで、浮上を選択する旨が説明されている。

空調さえ完備されていたなら

この空調不備が潜水艦損失にいたる最大の原因である。これは、空調が充実した状態と比較すれば分かりやすい。

空調により長時間の潜水ができたらどうなっただろうか。原始的な水酸化ナトリウム系資材の利用でも、二酸化炭素を除去できた。その際に生じる発熱を含めて冷房除湿で対応できていたとすればどうなっただろうか。

相当数の潜水艦が生き残ることになる。その理由を整理すれば次の3つである。第1に、アメリカの駆逐艦から逃げ切る可能性が高まること。次に、潜水艦乗員のミスも減ること、そして生存数増加によりアメリカの駆逐艦への対応ノウハウの蓄積も進むことである。

第1に、アメリカの駆逐艦から逃げ切る機会が増える。空調により日数2倍となる4日間ほどの潜航ができれば、その可能性は一気に高まる。

繰り返すが、当時の潜水艦は潜航さえしていれば簡単には沈められない。アメリカの駆逐艦を出し抜く機会もありえた。冷水層に入り込めなくとも、ソーナーから逃がれられる可能性もある。

基本的に日本の潜水艦はアメリカの米駆逐艦から遠ざかるが、これは艦尾をソーナーに向ける姿勢であり音響反射面積は最低限となった。つまり見つかりにくくなるのである。仮に見つかって攻撃を受けても攻撃回避はできた。そのようにして午後まで凌げばソーナー探知も難しくなる。

一度、出し抜けば脱出も難しくはない。アメリカの駆逐艦は、最後に探知した地点を中心にして再捜索する。その間に逃亡を図る。吸気筒や潜望鏡はレーダ探知の可能性があるので上げない。逆探知されるので、アンテナを上げての無線通信もしない。

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