24時間テレビ「慈善番組で金儲け」批判への違和感 「出演者はギャラ返上」「広告費は全額寄付」は現実的か
人を寄付やボランティアなどの社会的行動に移させるために、感動を与えることは依然として有効なやり方だ。番組が提供する“感動”が時代遅れなのであれば、テーマを再検討するなり、演出のやり方を変えるなり、新たな“感動”のあり方を模索すればよいだろう。
“チャリティー”と“お金儲け”のジレンマ
続いて、2、3の批判について考えたい。両者はいずれもお金の問題であり、裏表の関係にある。お金の流れが見えにくいことが、「24時間テレビ」が批判される要因となっているように見える。
まずは、2の費用に関する批判から先に見ていきたい。
今回にしても、お笑いタレントのやす子さんのチャリティーマラソンのギャラが1000万円だったといううわさが流れ、やす子さん自身がXに「チャリティーマラソンのギャラ1000万円ってデマが飛び交ってるけど、一銭もいただいてないですよ!憶測やデマをすぐ信じちゃうのやめたほうがいいですよ」と投稿して否定した。
ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさんも、Xに「過去も今回もギャラはいっさいもらいません」と投稿している。
一方で、過去の日本テレビ側の発言や、メディアの報道を見ても、すべての出演者が無償というわけではないのも事実のようだ。
この点について、「チャリティー番組だから無償でやるべきだ」「海外のチャリティー活動は大御所でもノーギャラだ」という批判がある。
欧米に関して言えば、大御所の芸能人ともなれば、莫大な資産を持っている。それを世の中に還元するべきだという社会通念もあるし、そうすることで人びとから賞賛を得ることもできる。
しかし日本においては、いくら社会貢献だといっても、すべての出演者に他の仕事を犠牲にして無償で出演してもらうことは、現実的ではないように思う。
「募金の一部が出演者のギャラに使われるのはおかしい」という批判もあるが、これも的外れな主張だ。
「24時間テレビ」のチャリティー事業は、公益社団法人である「24時間テレビチャリティー委員会」が設立してそこで行っている。決算報告書も公開されている。毎年、支払い報酬の費目に100万円程度計上されているが、これが出演者のギャラに当たるとは思えない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら