24時間テレビ「慈善番組で金儲け」批判への違和感 「出演者はギャラ返上」「広告費は全額寄付」は現実的か

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日本テレビが組織ぐるみで着服を行ったのであれば、今年の「24時間テレビ」はおろか、番組自体の打ち切りも検討しなければならないほどの大きな不祥事である。

日本海テレビは日本テレビの系列局であり、日本テレビは大株主でもある。そういう企業の社員個人が着服を行ったというのが本事件だ。

従業員が横領を行った場合、責任を問われるのは、当該の従業員であり、企業ではない。今回は寄付金の着服ではあるが、日本テレビに責任が問われるとしても、せいぜい管理責任までであって、着服したことに対してではない。

日本テレビ側が謝罪や説明を行うとしても、「管理が十分でなかった」「今後の寄付金の管理を徹底する」といったこと以上は言えないし、それ以上のことを言うと、「日本テレビが寄付金を着服した」という誤解を招いたり、必要以上に責任を負わされたりすることになってしまう。

旧ジャニーズ事務所の問題は解決したか

旧ジャニーズタレントの起用については、むしろ昨年にメインパーソナリティーとして起用したことのほうが問題であったと思う。一部のファンからの批判はあるだろうが、メインパーソナリティーを廃止した今年は健全化したと言えるだろう。

多くのテレビ番組でSTARTO ENTERTAINMENT社(旧ジャニーズ)のタレントが出演するようになっているが、社会性、公共性の高い「24時間テレビ」で慎重になることは当然のことだ。

旧ジャニーズとテレビ局の関係の問題は、「24時間テレビ」あるいは日本テレビに留まらず、テレビ業界全体で検証し、反省しなければならないことだ。

「24時間テレビがやめられないのは、なんだかんだ言って視聴率が稼げるからだ」という批判もあるが、そう主張するメディアの多くも「24時間テレビを叩いておけば、アクセスが稼げる」と考えているように思える。

「24時間テレビ」がなくなれば、叩く相手もいなくなるのだから、健全な批判をして、共存共栄を目指してはどうだろうか。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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