24時間テレビ「慈善番組で金儲け」批判への違和感 「出演者はギャラ返上」「広告費は全額寄付」は現実的か

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出演者のギャラや番組制作費は、あくまで日本テレビが負担しているはずで、その原資は広告収入から充てられているはずだ。ただ、そうなると「チャリティーなのに広告収入を得ているのはいかがなものか?」という、また別の批判が出てくる。

特別番組を放映してはいるが、通常と同じビジネスモデル(広告収益を得る無料放送)で放送活動を行っており、それとチャリティー活動がセットになっている(ただし、チャリティー活動は社団法人を設立して切り分けている)のが、「24時間テレビ」だ。

テレビ放送を通じて、視聴者を啓発したり、募金を促進したりできるのが大きな強みであるが、放送活動の部分が、「チャリティーのあり方に反する」「商業主義に走っている」という批判も呼ぶ結果になっている。

昨今の批判の激化の背景には、多くの企業が社会貢献活動を行うようになり、「24時間テレビ」の商業主義的な側面が目に付くようになってきたという事情もありそうだ。

チャリティーマラソン
やす子さんのチャリティーマラソンについては好意的な意見も多かったが、「ランニングウエアが透けている」という批判や沿道の観客が身体を触るなどの問題も発生した(画像:「24時間テレビ」公式Xより)

社会貢献には“持続可能性”が不可欠

最近、“サステイナビリティ(持続可能性)”という言葉をよく耳にするようになっているが、この考え方は社会貢献事業において非常に重要だ。

「出演者は無償でやれ」「日テレの社員は無給でやれ」「広告収入は全額寄付に回せ」という批判があるが、確かにそれが実現できれば理想的だ。ただし、それは“持続可能”とは言いがたい。

例えば、「せっかくなら環境にやさしい服を買おうかな」と思っているときに、「いま着ている服を破れるまで着続けるべきだ」「古着を買うほうが環境にいい」と言われたら、どう思うだろうか?

「そのほうがいい」と判断し、「そうしたい」と思えばそうすればよいし、「そこまでするのはつらい」と思うなら、相手の意見に従う必要はない。「環境にやさしい服を買うほうが、そうでない服を買うよりはいい」というのも、また真実だ。

いくら正しくても、我慢を強いられるような方法は長続きしづらい。

よくも悪くも、「24時間テレビ」は日本テレビ、あるいは系列テレビ局の収益事業の足を引っ張らなかった(あるいは収益事業に貢献した)からこそ、47回も続いてきたと言える。

一方で、「環境にいい服を買っているのだから、たくさん服を買ってもいい」という発想になると、本末転倒になる。

次ページ健全な批判には真摯に耳を傾けるべきだが…
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