この地球以外に「生命の星」は存在するのか

夫婦が研究で導き出した「生命の星の条件」

こうした条件の検討の中で、太陽系で、地殻が動くプレートテクトニクスが存在する惑星は地球だけであるということや、火星もかつては生命の存在に必要な液体の水が存在したことがあった、といったことが明らかにされていきます。

こうした科学的考察の積み上げによって、じつは生存可能な惑星というのは、現在の地球のような星である必要は必ずしもない、ということが読者にわかっていきます。

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しかし、この本のタイトルが『生命の星の条件』とならずに、『生命の星の条件を探る』となっているように、「生命の星の条件」すべてがわかったわけではありません。まだまだ、たくさんの「もしも」を考えて「どんな星なら生命が住めそうか」を考えなければいけません。

さらには、それが広い宇宙の中で、遠くからはどう見えそうか、つまり観測でどうとらえるかの提案もしなければいけません。まだまだ研究しないといけないことが山ほどあるのです。

ですから、「地球以外に生命の星がある」という夫の確信を科学的に裏付けるための作業はまだまだ続きます。

それでもなお、夫は終章で、再び「地球以外にも生命の星はある」とその確信を披露するのです。それは、彼には自然に出てきた確信です。さらに、その「信念」に向かって科学を少しでも前に進めることが自分たちの使命だと考えています。このため、欧米に比べてまだまだ劣る研究環境にある若い研究者や教え子たちが、学問の壁も国境も越えて元気に先へとどんどん進めてくれるのを願って、日々一緒に研究を続けているのです。

ALSを発症、研究は限られた期間に……

著者の阿部豊さんと阿部彩子さん

夫は、自分の研究を一般の人々にむけてわかりやすく書くという本書の執筆に、この3年情熱を傾けてきました。

ALSという病気を2003年に発症したために、執筆にはたいへんな労力と時間がかかりました。大学の毎週の講義もそうなのですが、夫はまず、口述で自分の考えの速記をつくらせ、それをパソコンの画面上で修正していきます。身体の残された機能でカーソルを動かし修正点を吟味していくというやりかたです。

学校の授業がある間は、まず音声マシンで読みあげる授業用のテキストを毎週つくらなければならないため、作業は、主に長い休みを使ったものになってしまいました。

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