今なお残る「富士重工製の鉄道車両」一族の系譜 2003年生産終了、独創的技術生かした気動車も

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しかしながら富士重工業の鉄道部門は、1990年代に入ると負債がかさんでいく。そこで同社は2002年、自動車を中心とした成長事業に投資をシフトし、鉄道車両は翌年を持って新規生産を終了すると発表した。

甘木鉄道のAR300形
甘木鉄道が2001年以降に導入した軽快気動車LE-DC「AR300形」。302号車は富士重工業の“最晩年”の車両の1つ=2014年(編集部撮影)

現在もLE-DCわ89形310番台2両を走らせる、わたらせ渓谷鉄道営業企画課からは「導入から30年以上を経ており、故障が発生しても交換用の部品を確保するのが難しくなっている」と維持についての苦労話も聞かれた。

とはいえ人材や技術が途絶えてしまったわけではなく、気動車製造におけるライバルでありながら経営破綻した新潟鐵工所の鉄道部門を引き継ぎ、IHIと日本政策投資銀行の出資により設立された新潟トランシスに引き継がれた。

わたらせ渓谷鉄道 WKT-500形
わたらせ渓谷鉄道に2011年に登場した軽快気動車「WKT-500形」は新潟トランシスが製造した(編集部撮影)

生産終了も宇都宮には深い縁

新潟トランシスでは気動車だけでなく、LRT車両も得意分野としており、8月に開業1周年を迎えた芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)用HU300形も製造している。

宇都宮ライトレールHU300形
新潟トランシス製の宇都宮ライトレール「HU300形」(筆者撮影)

かつて富士重工業が鉄道車両を送り出していた地で、技術を継承した会社の車両が走るシーンは、歴史を知る者には特別の感慨がある。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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