今なお残る「富士重工製の鉄道車両」一族の系譜 2003年生産終了、独創的技術生かした気動車も

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しかしながら最大の顧客だった国鉄は、年々赤字が膨らんでおり、1980年には輸送密度の低い特定地方交通線をバス転換や第3セクター化すると発表した。

三陸鉄道 36-105
岩手県の第三セクター三陸鉄道の気動車「36-100形」(筆者撮影)

受注が減少していた富士重工業は、第3セクターに新たな挑戦の場があると考えた。そこで1982年に発表されたのが、LE-Carと呼ばれる新世代レールバスで、Lはライト、Eはエコノミーの意味を持たせていた。

「1980年12月、当社は若手技術者を集めてレールバス開発プロジェクトを立ち上げたが、そこでの開発目標は、国鉄一般気動車の3分の1という従来の延長線上では不可能と言われるものだった。そのため、車体・内装はバスボディを使用、下回りは1軸台車を中心として小型軽量化を図ることとし、エンジンをはじめとする主要部品は、極力、量産されているバス・自動車用のものを採用する方針をとった」(富士重工業50年史)

富士重工業はかつて、青森県の南部縦貫鉄道などへ車両を供給していた。バスと鉄道の両方の経験を持つという特徴を生かせるジャンルといえた。

各地の3セクで導入

当初は1軸台車だけだったが、定員増加を望む声があったことから、ボギー台車を採用した車両も加わり、全国各地の第3セクター鉄道に導入された。

さらにこの経験を生かして、一般の鉄道車両に近い軽快気動車LE-DCも開発された。車体構造は鉄道車両のそれだったものの、エンジンなどはバスの部品を転用していることが特徴だった。

近江鉄道「LE10」
近江鉄道がかつて運用していたLE-Car「LE10」=2009年(編集部撮影)
樽見鉄道の「ハイモ230」
樽見鉄道で活躍した「ハイモ230」はボギー車のLE-carだった=2009年(編集部撮影)

 

京都丹後鉄道が運行するダイニング列車「丹後くろまつ号」は気動車「KTR700形」を改造した。特別展示のため京都鉄道博物館に入線=2021年(編集部撮影)
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