破綻の林原買収に700億円、老舗商社・長瀬産業の大勝負
化学品商社の長瀬産業が、2月に倒産した食品・化粧品素材などのバイオ企業、林原(本社・岡山市)を来年2月初旬にも子会社化し、同社再建に社運を懸ける。
林原は不動産投資などで負債が膨張。創業者一族による長年の粉飾決算も発覚し、会社更生法を申請した。11月18日に提出した更生計画が裁判所から認可された後、長瀬が100%子会社化する。
倒産したとはいえ、林原はがん治療薬「インターフェロン」や糖質「トレハロース」を世に送り出したバイオの有力企業。中でも食品の乾燥などを抑制するトレハロースは、製造特許を押さえて市場を独占し、利益率も高い。
同社の支援には食品や製薬、商社など国内外の数多くの企業が名乗りを挙げ、買収額(=債権者への弁済原資となる支援金額)は高騰。熾烈な争奪戦の末に権利を得た長瀬が投じる金額は、出資・融資合計で700億円に上る。
長瀬は合成樹脂や化成品、電子材料を柱とする化学品商社最大手。1832年創業の老舗企業で、堅実経営に徹してきたため財務内容もいい。が、今回の買収に投じる700億円という金額は、長瀬が2010年度に稼いだ最終利益の6年分にも相当し、その資金負担は非常に重い。