昔から少しの隔てもなく仲よくしてきた二人
大将の君(夕霧)は、督の君の病気をずっと深く心配し、見舞っている。昇進のお祝いにも真っ先に駆けつけた。督の君が臥している対屋(たいのや)のあたりや、こちら側の門は、馬や車がひしめき合って、大勢の人々が騒がしくしている。今年になってから督の君はほとんど起き上がることなく、そんな不作法な姿でこの重々しい身分の大将の君に会うわけにもいかず、しかし会わずに気に掛けながら衰弱していくのかと思うと残念でならず、「やはりこちらに入ってください。こんなに見苦しい姿で会う失礼を、もう許してくれるね」と、横になっている枕元のあたりに、僧たちにしばらく席を外してもらって、招き入れる。
昔から少しの隔てもなく仲よくしてきた二人なので、別れるのはどれほど悲しくて恋しいか、その嘆きは親兄弟の気持ちに劣るべくもない。今日は昇進のお祝いなのだから、もしこれで気分がよいようだったらと思うと、大将の君はたいそう残念で張り合いなく感じられる。















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