人前で話すことになったら考えたい「3つの問い」 覚えておくと便利なフレーズ「THE POWER OF ○○」
せっかく一生懸命に伝えても、相手が内容を覚えていなければ意味がありません。トップリーダーは話を聞かせるだけでなく、その内容を相手の記憶に刻み込ませることができます。そのためには、コア(中核)となる「メインメッセージ」を明確にする必要があります。
プレゼンで最も伝えたい内容を「メインメッセージ」としてまとめましょう。メインメッセージがない、またははっきりわからない状態は「結局なにが言いたかったの?」となってしまいます。記憶に残りません。
歴史上、名演説として記憶されているもののほとんどは、メインメッセージによって語り継がれています。マーティン・ルーサー・キング牧師がリンカーン記念堂で人種差別の撤廃を呼びかけた「I Have a Dream」(私には夢がある)が適例でしょう。多くの人はそのスピーチの全文ではなく、「I Have a Dream」というメインメッセージだけを記憶に残しています。
メインメッセージは繰り返すことができるためにも、聞き手が覚えられるためにも、短くする必要があります。
2008年アメリカ大統領選挙でのオバマ候補陣営では「change(1語)」や「Yes we can(3語)」など短い語のメインメッセージを発信しました。聞き手を鼓舞するこの印象的なメインメッセージは、すぐに覚えることができます。演説の節目で聴衆が「Yes we can」と声を上げる場面も見られました。結果、アメリカ史上初のアフリカ系の大統領の誕生となったのはご存じのとおりです。
13文字の名詞のみの組み合わせが記憶に残る
話し方の観点では、「13文字」は一息の長さでもあります。メインメッセージは一息で話すことが原則です。言葉の途中で息継ぎをしてはいけません。メッセージの力が弱まるからです。一般成人の平均では、ヒトが一息で話すことができるのは13文字、5秒程度と言われています。もちろん、あなたが肺活量に自信があるのなら13文字以上に長くしてかまいません。
短いフレーズを使って話す効果について、日本で研究された興味深い事例をご紹介しましょう。大学の授業で教員が内容をわかりやすく説明するために提示したキーワードの特徴と、受講した学生の記憶割合との関連について分析したところ、文字数が3〜6文字のものが記憶割合が81.1%と一番高くなりました。
14文字以上の場合、記憶割合は73.9%まで下がったことが報告されています。加えて、名詞のみの組み合わせ(英語、数字、記号も含む)の記憶割合が高い傾向にあることが示唆されました。
「文字数3〜6と少ない名詞のみのキーワードが記憶に残る」というヒントは、ぜひ私たちも取り入れたい知見です。
メインメッセージを決める際に注意すべき点は、話す内容を示したタイトルとメインメッセージを混同しないことです。
例えば、あなたが「会議で新しい企画を提案する」担当になったとしましょう。そこで「新企画提案」「私たちが目指すSDGs」というようなフレーズをメインメッセージに設定するのはお勧めしません。確かにどちらも文字数は少ない短いフレーズですが、これは話す内容でしかないからです。魅力的なメインメッセージにはなりません。
サステナビリティを目指す新しい企画を取り入れることで、どのような未来を手に入れることができるのか。どのような問題を解決することができるのか。聞き手に対するメリットを入れる必要があります。
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