ホンダが「今あえてマニュアル車」にこだわる意味 MT専用グレード「シビックRS」の仕上がりは?

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シビックRSの開発陣がしたことは、トランスミッションを中心に、スポーティなフィーリングをより強くするためのファイン(細かな)チューニング。

セダンでMT。SUVはやりのいまのトレンドとは180度対極にあるような設定だけれど、クルマ好きとしては「MTで楽しみたい」という傾向はうれしい。それに応えるホンダの姿勢も、おおいに評価したい。

エンジンとトランスミッションの間にあるフライホイール(はずみグルマ)をシングルマスの軽量タイプにして、慣性を30%落としたことがひとつ。これでエンジンが軽やかに回るようになる。

レッドゾーンの6500rpmまで軽やかに回るエンジンも印象的(写真:本田技研工業)
レッドゾーンの6500rpmまで軽やかに回るエンジンも印象的(写真:本田技研工業)

トランスミッションでは、もうひとつ大きな変更がある。「レブマッチシステム」の採用だ。

MT車のスポーツドライビングに欠かせない“ヒール&トー”をせずとも、ドライバーがシフト操作するだけで、適切なエンジン回転数を算出し自動制御で回転あわせをしてくれる。トヨタのGRモデルに用意される「i-MT」のようなシステムだ。

シフトアップ時にクラッチをつなぐのが遅れても、エンジン回転数が低下しないようにしながら上段ギアにシンクロ、というのもしてくれる。さらに、1速から3速、5速から2速といった操作も適切に制御する。

ペダル配置を含め、ドライビングポジションも良好(筆者撮影)
ペダル配置を含め、ドライビングポジションも良好(筆者撮影)

ヒール&トーをうまく決めたかのようなドライビングを可能にしつつ、「MT車の経験が少ないドライバーから熟練ドライバーまで、MT車を操るよろこびを感じてもらえる」とホンダはうたっている。実は、2017年の「シビック タイプR」で最初に導入したものだ。

MTのよさを再確認する

実際にシビックRSをドライブしてみると、シフトフィールがよい。ギアノブを軽く押すと、望んだゲートに吸い込まれるように入っていく。「これがMTのよさだ」と、うれしくなる。

もちろん、ヒール&トーもやりやすい。ブレーキペダルを右足のつま先で押しつつ、クラッチペダルを踏み込んだタイミングで右足のかかとでアクセルペダルをあおり、ギアを入れ替えてすぐにクラッチをつなぐのがヒール&トーのお決まりのやり方だが、おもしろいぐらいにボンッとできる。

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