しかし、ホンダのRSラインナップをみると、ドイツ車のそれとはちょっと違っている。「RSはロードセーリングの略」とするのは、ホンダ自身だ。それは、1974年のシビック1200RSのときから変わらない。
「ロードセーリングには、あたかも水上を帆走するように、悠々と気持ちよくハイウェイを走る、そんな想いが込められています」。ホンダのホームページには、そう記されている。
シビックに「RS」を命名した背景
シビック1200RSが誕生した当時は、大気汚染が社会問題化しはじめたころ。そんな中でレーシングやスポーツをうたうのをはばかって、苦しまぎれに考えついたのがロードセーリングだと思っていた。
しかし、今のホンダにおいて、「タイプR」がサーキット走行までを視野に入れた本格派のスポーツモデルで、RSは世間一般でいうGT(グランツーリスモ)ぐらいの位置づけのようだ。
「RSはロードスポーツを楽しんでいただくための象徴的なブランド」。開発を担当した四輪開発センターLPL室LPL(ラージプロジェクトリーダー)の明本禧洙(よしあき)チーフエンジニアは、新型シビックRSのネーミングの背景をこのように“解題”してくれた。
ロードスポーツとは、筆者の解釈では一般道でドライブが楽しめるモデル。「タイプRは究極のMTモデルで、その下に気楽に運転が楽しめるMTモデルがあっていいのでは、と思っていましたし、ユーザーもそこを評価してくださっていました」と明本チーフエンジニア。
これまで「EX」「LX」グレードにマニュアル変速機を用意していたが、今回のシビックRSはそれらと入れ替えになるそうだ。
なぜ、“入れ替え”なのか。明本チーフエンジニアに尋ねると、従来のMTモデルは「スポーティさが不足している、と不満に思っているユーザーがいらっしゃった」という。
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