週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #トップコンサルタントの「デジタルの流行」を疑う

経営者は「DXへの過大期待」を今すぐ捨てるべきだ 「効果出ない」悩む経営者に"足りない視点"は?

7分で読める
  • 大野 隆司 経営コンサルタント、ジャパン・マネジメント・コンサルタンシー・グループ合同会社代表
2/5 PAGES
3/5 PAGES

しかし、いち早くDXを推進してきたにもかかわらず、いまだに「目に見える効果」が出ていない企業が多いという現状があります。すでに数百億円を超える投資をしている企業も多く、その悩みは深刻です。

なぜ「守りのDX」の効果を享受できていないのでしょうか。

それを読み解くには「業務効率化によるコスト削減の効果算定」を理解しておく必要があります。

「DX効果算定」のまやかし、その実態は?

業務効率化によるコスト削減の効果算定といっても、実はそれほど難しいものではありません。

みなさんも、「年間100万時間(500人分)の業務効率化を実現」「50億円相当のコスト削減を達成」などといった記事をよく目にすることがあるでしょう。これらの数字は、次のような数式で導き出すことができます。

守りのDXによる削減時間=ある業務1件あたりの削減時間 × その業務の処理件数

たとえば、伝票ひとつの処理時間を10分削減し、対象となる伝票が月に1万件だった場合は、

10分/伝票 × 1万(伝票数) × 12(カ月) ÷ 60(分)=2万時間分(の削減)

といった具合に1カ月分の削減時間が弾き出せます。

こうして、対象となる全業務分を積み上げた数字が、「守りのDX」による効果、つまり「総削減時間」ということになります。

この時間を年間の稼働時間の2000時間(250日×8時間)で割れば「何人分」の数値となります。その数値に1人当たりの雇用コストを掛ければ「コスト削減額」となります。

しかしこの算定は、しばしば意思決定をミスリードすることがあります。

例えば「年間100万時間(500人分)の業務効率化を実現」は、大手金融機関の実際のケースです。

100万時間はたしかに大きな数字でしょう。ただし、ここでひとつ注意が必要なのは、この大手金融機関は「4万人の従業員を擁している」という点です。

つまり、年間の100万時間を4万人で割り、さらに年間稼働日250日で割ると、「1人当たり1日わずか6分の削減」……ということになります。

次ページが続きます:
【中小がぶつかるDXの壁とは?】

4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象