金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱 ロナルド・ドーア著 ~経済を翻弄する金融化への警世の書

金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱 ロナルド・ドーア著 ~経済を翻弄する金融化への警世の書

評者 奥村 宏 会社学研究家

1980年代ごろから経済の金融化が世界的に進行した結果、経済は不安定になり、所得格差が拡大し、それに対する大衆の不満が爆発している。

それがいま反ウォール街デモとなって世界中に拡大しているのだが、なぜこんなことになったのか。そもそも経済の金融化とは何か、ということを具体的に、詳しく検討している。

著者は50年以上も前に『都市の日本人』や『日本の農地改革』などの著書で日本社会のあり方を解明し、多くの日本研究者に大きな刺激を与えた。

その後、日本経済、そして日本型企業システムを分析したジャパノロジスト(日本学研究家)の大家として多くの人に知られるようになった。

著者はこれまで米英型=アングロサクソン型システムに対する日本型システムの素晴らしい点を強調してきたのだが、その日本型システムが経済の金融化によって壊されてきた。

それは小泉─竹中路線による新自由主義政策、さらにアメリカ直輸入の経済学者たち、それを支援してきたマスコミによってもたらされたものである。

このことを10年も前に著者は『日本型資本主義と市場主義の衝突』で詳しく分析しているが、それをさらに深め、その後の動きを詳しく書いたのがこの本である。

経済の金融化は金融業に携わる人の所得を増やして格差を拡大し、金融派生商品による投機化を進展させ、人権よりも財産権を重視し、証券文化が奨励されることで投機化をすすめる。

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