自民党の「報道圧力」をテレビは、どう伝えたか キャスターらが番組内で語った言葉

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」・・・自民党の勉強会における威勢のいい発言を、テレビはどのように報じたのだろうか(写真:白熊/PIXTA)

問題が起きたのは6月25日である。この日、安倍首相に近い自民党の若手・中堅議員による「文化芸術懇話会」が百田尚樹氏を招いて勉強会を開いた。テレビカメラによる冒頭撮影の間に、百田氏が「反日とか売国とか日本を貶める目的で書いている記事が多い」とマスコミを批判した。

さらに取材陣を外に出した後、「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなることが一番だ」(大西英男議員)、「スポンサーにならないこと。これが一番こたえるだろう」(井上貴博議員)など、報道への圧力を容認する発言が相次いだ。さらに、長尾敬議員が「沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくためには? 左派勢力に完全に乗っ取られている現状だ」と指摘すると、百田氏が「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」と発言した。

一斉に抗議のコメント

GALAC9月号の特集は『テレビ広告"限界説"を吹き飛ばせ!』です(上の書影をクリックするとアマゾンの販売サイトにジャンプします)

26日、この内容が伝えられると「報道の自由」を揺るがしかねない大問題だと各マスコミが大々的に報道。沖縄タイムスと琉球新報は共同抗議文を発表した。自民党は発言した3人の議員を厳重注意とし、勉強会の主宰・木原稔青年局長を更迭し1年間の役職停止処分にした。

普段は異なるスタンスのメディア各社も、これは見過ごせないという姿勢で一致。民放連や新聞協会などが一斉に抗議のコメントを出した。

民放連・井上弘会長「民間放送や新聞事業の広告主に圧力をかけることにより、報道機関の取材・報道の自由を威圧しようとする言動は、言論・表現の自由を基盤とする民主主義社会を否定するものであって容認しがたい。とりわけ、与党自民党の国会議員からこれらの言葉が発せられたことは誠に遺憾である。自民党議員の集会において、特定の報道機関を〝つぶす〟べきであるなどという発言がなされたことも、日本の民主政治のレベルを誤解させかねない事態である」

日本新聞協会・編集委員会「極めて深刻な問題だ。表現の自由をないがしろにした発言は、報道の自由を否定しかねないもので到底看過できず、強く抗議する」

しかし、厳重注意処分を受けた大西議員は30日、「(報道機関を)懲らしめようという気はある」と再び記者団の前で発言。これが報道されて同日夜、2度目の厳重注意処分を受けた。

7月1日、衆議院の特別委員会でジャーナリストの鳥越俊太郎氏が参考人として「『マスコミを懲らしめるには広告収入を減らせ』といった発言は、表現の自由を保障する憲法に真っ向から反する。そのへんの居酒屋で酔っ払ってマスコミつぶしてしまえと言っているのと訳が違う。安倍総理に近い立場の人である。つまり安倍応援団であると書かれている。そういう人たちがああいう議論をされたことに非常に危機感を覚える」と述べ、自民党のNHKやテレビ朝日幹部への事情聴取も「萎縮効果を生んでいる」と疑問を呈した。

では、テレビはこの問題をどう報道したのか。キャスターやコメンテーターの発言をまとめてみた。

次ページキャスターやゲストが語った言葉
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事