今の大学生たちが「公園遊び」にハマる理由 カラオケでもカフェでもなく公園へ?

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第2の要因としては、今の若者が友人たちとしたいことが一気にできるのが公園なのだということだ。

今の若者は、友人たちと話すこと、写真を撮ること、おいしいものを食べてワイワイできること、がしたいのだと、インタビューをしながらしみじみ感じた。

実際に公園などのほうが、カフェなどの周りの空気を気にすることなく、自分たちの空間で自由にふるまうことができるのだ。

今の若者はSNSにアップするために大量の写真を撮るが、自然に囲まれたところであれば、オリジナリティのある写真を撮ることができる。実際、今回のケースにでてきた写真も個性的なものになっていると思う。

そもそもこれまでカフェなどで友人同士でおしゃべりをしていたが、話すだけならば、公園で十分だと気づいたという声もちらほら出てきた。

第3に、仲間との「団結感」や仲間との「特別な空気感」を味わいやすいということだ。

昨今、友だち同士でおそろいの洋服を着て、「SNS映え」を狙う若者が少なくない。ここ数年、集団で同じ服を着てディズニーランドに行く若者が男女ともに多いが、そうした「みんなで遊びたい」ニーズとも関係していると思う。周りの目を気にすることがなく、はしゃいだりすることも出来るため、オリジナルな遊びができ、自分たちのやり方でより自由に楽しむことができるのではないだろうか。

今の若者は、公園や自然の中で時間を過ごすことで、今しか出来ないことを楽しんでいるともいえる。話を聞いていく中で、「社会人になったら……」「就活をするようになったら……」と今の時間を大切にしていることが伝わってきた。

今回のインタビューでは男子のみのグループは見つからなかったが、今後は男子のグループもますます増えてくるのではないかと予想する。

原田の総評:おしゃれアピールへの飽きがある

さとり世代の「自然」との触れ合いに関するレポートはいかがでしたでしょうか。

確かに若者たちのインスタグラムをのぞくと、以前は「スタバなう」などのオシャレなカフェやレストランやパンケーキなどの写真などが多かったのに対し、最近では、綺麗なお花などの写真が増えているように感じています。

さとり世代が自然を好むようになってきたのは、学生たちが分析してくれたようにさまざまな要因がありますが、この数年、SNSが普及し、多くの若者たちがオシャレアピールをしてきましたが、ややそのアピールにも飽きがきていることもありそうです。周囲の投稿と差別化するためにも、「僕は自然が好きなんだ」「私は童心に返るほどピュアなの!」など、今までと違ったことをPRしたいニーズが若者たちの間で生まれてきているのかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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