ドラッグ店ゲンキーが地方スーパーを倒せる理由 「売れなくても持続可能」、人口減少に強い仕組み
地方での食品流通市場は人口減少とともに縮小していけば、そこに存在するスーパーは、損益分岐点が高い店から順に撤退を余儀なくされる。しかし、ここ20年の間に地方ではスーパーの競争が激化し、広い駐車場と広い売場(500~700坪ほど)に豊富な品ぞろえを備えていない店はかなり淘汰された。
そのため、今の地方郊外の食品スーパーの損益分岐点は、先ほどの図表の通り、13億円以上とかなりの売り上げが必要になっている。現在の生き残りスーパーは、人口減少が進行すると弱い順から淘汰されていく。こうした中でも、ゲンキーの便利店は最後まで生き残ることができる「食品スーパー」なのだ。
「売れなくても存続可能な店」という強み
これから、人手不足と人件費高騰に向き合わねばならない食品スーパー業界は、生鮮、惣菜に関して、店舗バックヤードでの作業を見直さざるを得なくなっている。
センター集中化して効率化を行わねば、オペレーションが回らないのだが、中小スーパーの場合、こうしたインフラ投資を行っていく余裕はないかもしれない。地場大手であったとしても、現在の損益分岐点の既存店を維持していくためには、相当のエネルギーが必要になる。
ゲンキーは、そうした様子を横目に、300坪店舗の出店を加速して、小商圏を削り取っていくことになるだろう。ずっと右肩下がり、というこれまでにない環境下での競争要因は、「売れる店」から、「売れなくても存続可能な店」に変わってきた。ゲンキーの300坪便利店は、10年以内にロードサイドの標準的ビジネスモデルとして、認知されることになる、と大胆予測しておこう。
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