「ご破算」となった日経平均は今後どうなるのか カギ握る3つの上昇エンジンと3つの不透明要因

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では、一見急反発しているように見える日本株だが、今後はどうなるだろうか。結論から言えば、今後の日経平均は上記の3つの上昇エンジンの行方次第だ。以下で説明する。

「3つの上昇エンジン」のうちプラス要因は金利

第1の米国株高はいったん終了とみている。ナスダック総合指数は上述のように7月10日にピークをつけたが、AI(人工知能)相場の先導役を務めてきたエヌビディア(NVDA)は6月18日の最高値を抜けず、7月10日に2番天井上昇となった後下落し、モメンタム(株価の勢い)は悪化している。

加えて、アメリカ商務省による人工知能(AI)向け半導体装置を巡る対中規制強化策(7月16日)によって、中期的な業績予想の不透明感も出てきた。「この分野を買っておけば値上がりが期待できる」というセクター(業種)ローテーションに限界がきた可能性がある。

ただAI関連株の株価下落などで日経平均はいったんはリバウンドする可能性も出ている。11月5日のアメリカ大統領選挙に向け、今後は大統領候補者や副大統領候補者などの対中規制強化策に関わる発言などでも株価は左右されそうだ。

第2の円安、特にドル円相場はどうか。7月11日には、日本の通貨当局が、アメリカの労働省が発表する6月の消費者物価指数(CPI)に合わせ介入したとの観測などから一気に円高が進んだ。

また、日銀は7月30~31日の金融政策決定会合で、従来0~0.1%としている政策金利を0.25%に引き上げると決めた。理由は賃金の上昇などで物価と景気の見通しがなお上向きにあると判断したためだ。あわせて日銀は国債買い入れ減額を月6兆円程度から2026年1~3月に月3兆円程度までに半減させる計画も発表。日本経済は「金利ある世界」に一段と踏み込んだ。

これによって円安が株高のエンジンとして機能しなくなったが、逆回転は始まったばかりだ。今回の利上げに加えて、9月にはアメリカでFOMC(連邦公開市場委員会)の利下げ期待が高まっている。さらなる日米金利差縮小となれば、為替は円高に進み、日本株にさらなる逆風となるだろう。

第3はひとことで言えば日本の金利上昇だ。ただ、利上げは株式市場にはネガティブだが、金融業界の割安株には好材料となる。企業のPBR(株価純資産倍率)1倍割れの是正を目指す東京証券取引所の改革も意識されるだろう。

7月の利上げは市場にとってサプライズ(私は想定の範囲)となったが、もし、その後日銀が複数回の利上げをできるようなら、中長期では株高のエンジンとして継続するだろう。

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