なぜロジカルシンキングのアップデートが必要か 「そんなわかりきった一般論はいらない」の声

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4Pというのはマーケティング施策を考えるうえで「Product 商品」「Price 価格」「Place 販売チャネル」「Promotion 販促活動」という4つの切り口を用いるフレームワークで、いまでは多くのビジネスパーソンに知られているものだ。

研修の場でフレームワークの使い方を覚えることはスキル育成のためにもよいと考え、「フレームワーク思考を身につけることを意識しながら、その切り口を使って考えてごらん」と僕も了承した。

そうしてチームからは、たとえばProductの視点から「ユーザーインタフェースを改良する」、Priceの視点から「初回の診断は無料にして利用者を誘致する」、Placeの視点から「企業と協業してその従業員に使っていただく」、Promotionの視点から「SNSマーケティングを強化する」といった提言が、中間報告のプレゼンの場でなされた。

それを聞いたクライアントから、第一声が発せられる。

「そんなわかりきった一般論はいらない」

その瞬間、ミーティングの空気が凍りついた。さらに、次の言葉が続く。

「4Pでも何でも、そのようなフレームワークは我々でも知っている。そんな周知の枠組みを使っているから、提言の内容が月並みなものになってしまう。我々が聞きたいのは、そのような一般論ではない。結局自分たちの事業に何が効くのか。その独自の考え、新鮮な洞察が欲しいのだ」

新人コンサルタントを鍛え上げる研修の場として、あえてこのような厳しい言葉を伝えた部分もあるだろう。しかし、それは僕にとっても紛れもなくショッキングなメッセージだった。

かつて有効とされた考え方が、価値を生み出すどころか、アウトプットを陳腐化させてしまっている。

その現実が、目の前にあった。

問題はどこに?

問題は、どこにあったのだろうか。少し視線を引いて俯瞰的に考えてみよう。

そもそも「考える」ということは、ざっくり言って「①インプット(情報収集)→②プロセス(情報処理・分析)→③アウトプット(思考成果の提示)」という流れで構成される。

料理でいうところの「①材料調達→②調理→③提供」の流れをイメージすればわかりやすい。

このうち、いかに情報をうまく分析し、そこから意味のある洞察を取り出すかという「プロセス」の部分は、まさしく経営コンサルタントが強みとする部分だ。

だが今回のケースでショッキングだったのは、この強みの核心であるはずの「プロセス」、つまりは考え方が陳腐だと言われたことだ。

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