人はなぜか「赤い色の異性」とSEXしたくなる 欧米の心理学会が追試に追試を重ねて実証

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答えはイエスです。性別を入れ替えて、これまでと同様の実験を行っても、「赤の力」はやはり見られたのです。男性の場合はさらに、赤を身につけることで、女性から「地位が高く、将来成功する可能性が高い人」だとも思われることもわかっています。

ルックス、文化、性別に関わらず、私たちは赤を身につけた異性を魅力的に感じてしまう――。ここで重要なのは、私たちは実はそのことに気づいていない、ということです。最初に挙げた2008年の実験では、研究者たちは回答者に、「あなたの判断にもっとも大きく影響を与えた要素は何ですか?」ということを聞いています。それは表情なのか、服装なのか、色なのか? すると、そこで「色」だと回答した人は、もっとも少なかったのです。つまり私たちが赤に引き付けられているのは、無意識の反応だと言えるのです。

ビジネスの場でも活用できる「赤」

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これらの研究結果は、実生活でも簡単に活用できます。異性にアピールしたいとき、女性であれば、赤いドレスや赤いブラウスを着るのが効果的でしょう。そこまで仰々しくなくても、たとえば赤いスカーフや口紅をつけるだけでも、赤の効果は見られます。

男性の場合、赤いシャツはもちろん、ビジネスの場では赤いネクタイをすることをおすすめします。それだけで相手に「地位が高い」という印象を与えることができ、仕事をより順調に進めることができるからです。実際に男性の政治家は、「ここ一番」のときにはよく赤いネクタイを締めます。それは、この「赤の力」を知っての戦略でしょう。私たちは恋愛だけでなく、ビジネスの場においても、赤を味方につけることができるのです。

初めてのデートや婚活パーティはもちろん、就職活動や、大事な商談、交渉の場において、私たちが身につけるべきなのは「赤」です。皆さんも明日から、ぜひこの「赤の力」を活用してみてください。

タルマ・ローベル テルアビブ大学社会科学部心理学科教授

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テルアビブ大学社会科学部心理学科教授。テルアビブ大学では心理学科長、学生部長も務めた。イスラエル国防軍に在籍していた18歳のとき、基地という特殊な場所で勤務し続けた経験から、「環境が人の思考や判断に与える影響」について興味を抱いた。その後は子どもと大人の性自認や、ステレオタイプ、性格、文化が人の行動に及ぼす影響について研究をおこなっていたが、08年に「身体化された認知」を扱った論文に出会い、以後この分野は「心理学の大革命」だと考え、研究を進めている。著書に『赤を身につけるとなぜもてるのか?』(文藝春秋刊)
 

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