そして、中等教育にあたるRugby School Japanでは、アカデミックな成功と人格形成を重視した教育を行っています。特に後者は重要で、「Character Formation」(人格形成)と言いますが、英国本校のラグビー校から校長や教員を招いて、全人教育のノウハウを共有してもらっています。
これからの時代は試験中心や知識偏重ではダメだ、と感じている保護者は多いと思います。当然その通りなのですが、しかしだからといってRugby School Japanは脱知識のオルタナティブな学校でもありません。450年以上の経験に裏打ちされた、実証済みのカリキュラムを提供し、アカデミックな成功と人間的な成長を融合したユニークで世界レベルの教育を行なっています。
また、幼少期から中学高校からスイスや英国の海外ボーディングスクールへの留学という選択肢もあると思いますが、やはり10代前半の人格形成期に親元を離れるのは、その子にとっても家族にとってもアイデンティティ・クライシスに繋がります。自分のルーツを忘れないことは国際社会で活躍する上で非常に重要です。
ですので、Rugby School Japanでは Weekly Boardingと言って、月曜日から土曜日の昼まで東京都心から1時間のキャンパスで寮生活、週末は自宅で家族と過ごすというプログラムがあります。共働きの保護者にとっても、平日は思う存分働き、自由に社交し、週末は家族水入らずでファミリーで過ごすということになりますので、家族全員にとって新しいライフスタイルの選択だとよく言われます。
スペシャリストよりジェネラリストに
堀内:教育の世界を自分のフィールドとしてやっていこうと思ったのは、どういった経緯からでしょうか。フェイフェイのバックグラウンドはとてもユニークなので、非常に興味があります。ご自身が中国で生まれて日本やアフリカで育ったことと、オックスフォード大学への留学で学んだ経験が強い影響を与えているのだと思いますが。
フェイフェイ:自身のことを少しお話させていただきますと、上海で生まれて7歳の時に日本に来ました。当時の日本は80年代後半のバブルの頃で、とてもエネルギッシュでした。上海では母と配給券をもらって野菜を買いに行くという生活をしていたのに、日本では街中にものがあふれ、近代的なきらびやかなビルが立ち並んでいて、強いカルチャーショックを受けた記憶があります。
それから11歳の時に、父の仕事の関係で南アフリカに行きましたが、大学は日本に戻り早稲田大学で哲学と文化人類学を専門に学びました。その後、オックスフォード大学に留学するのですが、さまざまな国で暮らし、その国の文化や習慣を経験するようになって、1つの言語や民族、国家という枠組みを超えたところで人類の歴史や人間社会が成り立っていて、ぼんやりとですがその中に自分という存在があると考えるようになりました。
何か漠然としたそうした思いをひと言でまとめてくれたのが、仏の哲学者パスカルの 'It is better to know something about everything than everything about something' という言葉です。つまり「何かについてすべてを知っているよりも、すべてについて何かを知っているほうがいい」というルネサンス的な発想ですね。
同時に、自分は中国出身ということもあったので、儒教に代表される古典の世界や文人の基礎教養とされていた琴棋書画を身につけなければという、中国的な文化精神の影響も大きかったと思いますが、基本的にはスペシャリストよりはジェネラリストになろうというのが私自身の目指すところとなりました。