「ジュラシック・ワールド」は何がスゴイのか 「これが見たかった!」を大切にした

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――ご自身では、なぜあなたがこの大作に抜てきされたのかと考えていますか?

これはたぶん、スティーブンと僕が同じ哲学を持ち合わせているからだと思う。それはつまり、観客を愛しているということ。生きていく中で誰しもストレスを抱えているわけだし、フラストレーションがたまることもある。でも少なくとも映画を見る間だけはそこから逃避することができて、そして見終わった後はよりしあわせな気持ちで劇場を後にしてほしい。スティーブンも僕も、そのことを何よりも優先しているんだ。

スピルバーグは新人の僕にも敬意を払ってくれた

(c)Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment

――パートナーとしてのスピルバーグとは?

とにかく声を大にして言いたいのは、スティーブンが僕という新人に敬意を払ってくれたということ。僕のやりたいように作らせてくれて、本当に寛大な人だった。もちろん僕も彼のことをものすごく尊敬している。だからできるだけ彼にも参加してもらいたかったから、ぜひ参加してほしいとお願いをした。撮影中はまるで自分が生徒のような気分だったよ。

――その共同作業とは、たとえばどんなところですか?

とにかく彼は脚本の段階からストーリー作りに関わっていた。そういう意味でも、すべてにおいてが共同作業だったと言えるだろう。もちろんいったん脚本が完成したら、撮影を始めるわけだけど、その段階ではラッシュも全部見てくれていた。

そして見た素材に対して、メモや写真が送られてきたりしてアドバイスを送ってくれた。そして時にはビデオが送られてきたこともあった。それはスティーブンの家の裏庭で飼い犬がけんかをしている映像で。お互いに立ち上がって首をかみ合っているものだった。それがインドミナス・レックスによる戦いのシーンに生かされたんだ。あのシーンはスティーブンの犬を参考にしているんだよ。

――あこがれの人と仕事をすることになり、その作品が世界中で大ヒットを記録したわけですが。現在の心境はいかがですか?

とにかくこの状況には非常に満足している。ただし、今回の世界を生み出したのは、原作者のマイケル・クライトンであり、オリジナル版の監督を務めたスティーブン・スピルバーグでもある。だからいつかは自分で作った完全にオリジナルの世界を生み出してみたい。僕はやはりそういうフィルムメーカーにあこがれているので、そういうチャレンジングなことをやりたい。ヒューマンドラマだってやってみたい。

今取りかかっている次の作品は、まったく違うジャンルの作品だし、とにかくリスクの高いことにチャレンジしたいと思っている。それは失敗するかもしれないけど、でもそれが成功への道だと思う。もちろんそのためには学ぶべきことはたくさんあるが、僕にはまだまだやりたいことがたくさんあるんだ。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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