経済学の基本原理が情報化で証明された--『無料ビジネスの時代』を書いた吉本佳生(エコノミスト、著述家)氏に聞く

経済学の基本原理が情報化で証明された--『無料ビジネスの時代』を書いた吉本佳生(エコノミスト、著述家)氏に聞く

最初は無料で商品を提供しながら、最終的には全体として利益の拡大を目指す「無料ビジネス」。考え抜かれた総合的な価格戦略があればこそ、成功するという。

──2タイプのコーヒー無料から書き出しています。

この本では、「最初の1杯無料」のほうを無料ビジネスと呼び、「お代わり無料」は無料ビジネスと呼ばない。確かに「お代わり無料」は手堅い商売をしているが、「最初の」がポイント。「後で何かが無料」というやり方まで含めると、極めて多くのビジネスに広がってしまう。現実には、この2タイプどちらも「ときどき無料券配布」、あるいは「午後3時以降はお代わり無料」と限定的にするのが得策だ。

──限定的な「最初の1杯無料」が今どきの手法なのですね。

「店に来る気がなかった人」も来店する。ほかの商品の販売にプラスになりやすく、コーヒーがおいしいと感じたら、有料で再び来店もある。おカネのない人も来るが、将来の稼ぎで回収することを狙う。たとえば、何かのサービスを学生に無料提供しておいて、その属性を知り、社会人になる前に囲い込む、あるいはほかの人に吹聴してもらう。コーヒー無料ではこの面での利得は弱いが、将来への囲い込みが今どきの無料ビジネスにおいて重要な狙い目といえる。

──経済学では、限界費用と等しくなるところで価格は決まると教えられます。

ミクロ経済学で習う基本原理だが、ほとんどの経済学者は現実的にはぴったり一緒になることはないと思っている。ところが、インターネット上では限界費用(追加コスト)がゼロになって価格もゼロになる。ある意味、情報化によって現実が理論に追いついた。ただし、多くの人にとってはインターネット上以外の例示のほう身近で理解しやすい。より一般的なケースから書き始めた。

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