企業規模別では大企業DIが下落して人手不足感が高まった一方、中小企業ではDIが上昇して不足感が和らいだ。
大企業では人手不足感が続いているものの、有効求人倍率が主に中小企業の求人を反映していると考えると、整合的な動きである。過去と比べれば緩やかかもしれないが、有効求人倍率の低下は続く可能性が高い。
景気ウォッチャー調査でも「求人伸び悩み」の声
このような状況について、7月8日に公表された6月の景気ウォッチャー調査では下記のようなコメントがあった。
「中小企業には人手不足感があるものの、賃上げや原材料価格の高騰によるコストの増加で、求人が出せないといった声もあり、全体的な景気の上昇がみられない」(近畿、現状、職業安定所〈職員〉)
「引き続き求人件数は弱含みで推移している。建設業や介護福祉の求人件数はやや伸びているものの、その他の業界は伸び悩んでいる。大手企業と中小企業の2極化も進んでいる。一方、隙間バイト系のサービスが様々な業界の求人を獲得している状況もみられる」(北海道、現状、求人情報誌製作会社〈編集者〉)
コストの増加に圧迫される中、中小企業の求人は増えにくいようである。少なくとも、日本経済は景気後退局面入りの瀬戸際にある可能性が高い。
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すえひろ とおる / Toru Suehiro
2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。
2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。
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