新しい世界、新しい常識を創ることが、リーダーシップにおける基本的な振る舞い方--原田泳幸・日本マクドナルドホールディングスCEO(下)
2011年8月29日に行われた日本マクドナルドホールディングス代表取締役会長兼社長兼CEOの原田泳幸氏の講演録の第3回目。
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自分が信じるものを作り、それを実行することが経営戦略
さて、残り少ない時間ですが、私が日頃社員に向かって繰り返し伝えている言葉を幾つかご紹介したいと思います。いろいろな方々のお話を否定するような表現で申し訳ございませんが、「リサーチデータで経営戦略を立てるな」というのが1つの言葉です。
やはり商売は直感がいちばん大事だと私は思います。データに頼れば頼るほど、想像力の阻害要因になりますし、新しい時代を読むことはできるかもしれませんが、時代を創るためのクリエーティブネスを損なうかもしれないと思っています。
そこで私は社員に「いろいろなリサーチをする前にお店に行け」「お店に行ったら商売のにおいがする」「商売のにおいがしないやつは、もうそこで失格だ」と、こういう言い方もしています。
たとえば新商品を出したとします。コンビニでも常識ですが、最初の2週間で1人のお客様が再購買されると、これがヒット商品の大事な見極めポイントとなります。
それをリサーチでお客様にリピートパーチェスのテストをやります。「再購買の意思がございますか?」と聞くと、日本人は意思がなくても「はい」と答えます。そのようなデータではなく、お店に行ってお客様が食べていらっしゃるときの目を見ます。目を見た瞬間、本当のことがわかるのです。これが商売のにおいをかぐという典型的な事例です。
そして、お店に行ってお客様やクルーと話をすること。クルーは嘘をつく必要がありませんので、彼らと話すと真実がわかります。そしてお客様の行動がすべての検証です。