新しい世界、新しい常識を創ることが、リーダーシップにおける基本的な振る舞い方--原田泳幸・日本マクドナルドホールディングスCEO(下)
少ないメンバーで質の高い決定をし、多くのメンバーで実行すること
乱暴な表現になってしまいますが、ビジネスの非常識を常識にすること。ニトリさんの商品やユニクロさんの商品を見ても、非常識だった世界を常識の世界にしてきた結果だと思います。つまり、新しい世界、新しい常識を創ることが、新しいビジネスのリーダーシップにおける基本的な振る舞い方なのではないでしょうか。
社員は、できない理由をよく言ってきます。できない理由があればあるほど、それを実現することが、他社の追随を許さない強い競争力を生むことになるのです。
また、ビジネスはスピードです。13カ月でやることを12カ月でやれば、売り上げは12分の13倍になります。それぐらい簡単なことです。したがって「決定したらすぐやれ」とよく言われますが、「決定しなくていいからやれ」というぐらいの感覚で動かなければいけません。
ここで重要なことは、決定する人と実行する人をきちんと分けることです。2人で決定することを4人で決定させると、対角線での議論になるので2倍ではなく4倍の時間がかかります。少ないメンバーで質の高い決定をし、多くのメンバーで実行することが、組織の基本的な考え方であろうと思います。
わが社の組織のいちばん中心は、お店の店長です。その店長がいかにいい仕事をするか。周りの人間がそれぞれ使命感を持っているかが重要です。「社長や部長というのは職位ではない。職種だ」と社員には伝えています。「社長が偉い」「上に上げる」「下に下ろす」といった表現はするなと。
社長という職種は大変きつい仕事ではありますが(笑)。あまりお薦めしたくないと言うと冗談に聞こえるかもしれませんが、たとえばわが子の将来を考えたときには、社長だけにはさせたくないというのが、やはり正直な思いです。
ここで少し後継者育成についてお話ししましょう。日本でカリスマリーダーシップを持った創業者が成功した事例がたくさんあります。そして、次世代継承のときに大変な危機に直面するという事例もたくさんございます。