ヤフー、創業来の最高益更新を守れるか 第1四半期は広告好調も通期は不透明

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一方、ECや有料会員のコンシューマ事業は、主力のネットオークション「ヤフオク!」が取扱高を着実に積み上げた。が、手数料の無料化で利用者増を図る育成中のネットショッピング「Yahoo!ショッピング」は収益貢献できず、事業全体の売上高は前年同期比0.8%増(289億円)、営業利益は同3.6%増(175億円)と停滞している。「その他」事業もクレジットカードの宣伝費がかさみ、増収・減益となった。

出足は好調だった広告事業についても、決算資料によると2015年度通期では「広告関連全体の売上高については、前連結会計年度比で一桁後半の増収率となる見込み」と慎重な見通しとしており、第1四半期の勢いが続くのか、先行きに不透明な部分もある。

アローラ会長は何をするのか

ヤフーは今期、経営陣に大きな変化があった。6月の株主総会を経て、昨年9月にグーグルから移籍した親会社ソフトバンクグループ副社長のニケシュ・アローラ氏がヤフー会長に就任した。

宮坂社長は「(アローラ氏は)米国と日本を行ったり来たりだが、日本にいるときは密にコミュニケーションを取っている。ネット業界について5年、10年といった長い目で見たときの議論をしている」と説明。「(ヤフー幹部との)かなり深いディスカッションをもっとやろうと言う話もある」とも述べた。昨年、ソフトバンクはアローラ氏に165億円の報酬を支払っていたことも明らかになったが、今後、ヤフーでどのような役割を担うのか、具体的な戦略については明確にしなかった。

大矢俊樹CFO(最高財務責任者)は会見で、通期の見通しについて「増収増益という基調については、予定通り」と説明した。が、事業環境は決して追い風ではないと、宮坂社長をはじめとする経営陣は認識しているはずだ。

5月に行われた2014年度通期の決算会見では、「非常に事業環境が変わってきた」(宮坂社長)として、それまで掲げてきた「201X年3月期までに営業利益3300億円」という目標のスライドが姿を消し、2015年度から業績予想の数字も公開しなくなっている。2015年度に19期連続の増収増益(2014年度から国際会計基準)を達成できるのか。日本のネット草創期から業界を牽引してきたヤフーにとって、まさに底力が問われる局面だ。
 

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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