日本は、実は莫大な量の水を輸入している 「バーチャルウォーター」を知っていますか
焼肉、ステーキ、とんかつ……皆さんの食卓に輸入された肉が並ぶことは、少なくないでしょう。たとえばある日の夕食で、200グラムのビーフステーキを食べたことを思い出してみてください。
肉牛1頭が育つまでにどれだけの飼料を食べるのかを考えると、その飼料栽培に必要な灌漑用水のことが頭に浮かびます。1食分、200グラムのビーフステーキを食すためには3200リットルもの灌漑用水が必要なのです。
こうしてみると、食料の輸入は「形を変えた水の輸入」とも考えることができます。そして食料のみならずTシャツなどの衣料や工業製品でも同様に水の仮想貿易が行われています。「バーチャルウォーター」と呼ばれるこの概念はロンドン大学の名誉教授、アンソニー・アラン氏が紹介したもので、各国の貿易を考えるうえで重要な視点を与えています。
降雨不足や干ばつ被害も深刻ではなく、島国ゆえに水紛争とも無縁で過ごしてきた日本。しかし、安穏とはしていられません。
世界の総人口は新興国の経済発展とともに急激な増加を続けています。現時点では約70億人とされる世界の総人口は、2050年には90億人を超えるという推計もあり、「水の奪い合い」が生じれば、見えない「水」ももっと高価なものになるでしょう。
水消費量を削減していく努力も必要
水の持っている高い価値を考えると、食料自給率を高めるのはもちろんのこと、工業用水の再利用などによって水消費量を削減していく努力も必要です。
これらの問題を見据え、多くの企業が、水の再利用や効率利用を可能にする水処理ソリューションを提供しています。海水を淡水に変えたり、石油精製や重工業で生じる工業排水を上水に変えるソリューションを通じて、世界の水消費を最小限に抑えることは重要です。
中には「水は21世紀の石油」と語る方も少なくありません。日本に住む私たちも、こうした緊迫度をもって「水」について考え始めるべき時を迎えています。
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