サントリー、JT自販機事業は高い買い物か

次期グループトップ候補、鳥井氏の眼力は?

サントリー食品がJT自販機事業をほしがった理由は何か(写真は鳥井信宏社長=左、写真:共同)

2014年は悲願の飲料業界1位に上り詰めたサントリー。さらなる成長に向けて、大きな賭けに出た。

サントリー食品インターナショナルは、JTの飲料自販機オペレーター事業と飲料ブランド「桃の天然水」「Roots」を、1500億円で買収する。

買収対象には飲料ブランド「桃の天然水」「Roots」も含まれるが、実質“おまけ”のようなもの。サントリー食品は缶コーヒー、フレーバーウォーターのどちらにおいても、「南アルプスの天然水」「BOSS」といった販売数量で勝るブランドを持っており、買収するメリットは小さい。あくまで狙いは自販機事業にある。

全国に26.4万台の自販機を持つJTの自販機事業は、飲料メーカーにとって魅力的な買収先。それを手に入れることで、自社商品の自販機販路を一挙に拡大することができるからだ。JTが飲料の製販事業からの撤退を表明した今年2月以降、自販機事業の売却交渉が水面下で行われ、飲料メーカーはこぞって入札に参加。最終的に1500億円を提示したサントリー食品が傘下に収めることとなった。

のれんが収益を圧迫する可能性も

ただ、1500億円という買収額は高い、との見方もある。

JTの自販機事業の中核子会社・ジャパンビバレッジホールディングス(以下JB)の純資産は、584億円(2014年12月期)だが、サントリー食品が今回取得するのは、JBの発行済み株式の70.5%。つまり、サントリー食品の資産となるのは、411億円程度だ。この額と買収額の差が今後のれんとして収益を圧迫するが、仮に20年の定額償却とした場合、年間ののれん償却額は、およそ54億円にのぼる。JBの営業利益は28億円(2014年3月期、14年12月期は変則9カ月決算のため除外)であるため、このままいけば単純計算で、サントリー食品は年20億円以上の赤字会社を買収によって抱えることになる。

サントリー食品の鳥井信宏社長は、「当社の自販機オペレーター子会社と、資材の共同調達や配送ルートの効率化などを行えば、コストシナジーが期待できる」と説明する。それらの取り組みによって、今後数年で70億~80億円の収益改善を見込んでおり、実現すれば黒字化も可能という見解だ。ただ、近年は円安による資材高騰や、トラックドライバー不足による物流費高騰の折にあり、コスト削減は容易でない。思惑通り営業利益を急伸させられるかは不透明だ。

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