サントリー、JT自販機事業は高い買い物か 次期グループトップ候補、鳥井氏の眼力は?
それでもサントリー食品が今回の案件に手を出したのは、2020年に清涼飲料事業で売上高2兆円という目標を掲げていることが背景にある。2014年度のサントリー食品の売上高は1兆2573億円。あと6年間で7000億円以上も売上高を伸ばす計画だ。既存事業の成長だけで達成は難しく、M&Aが必須となる。これまでも2009年の仏オランジーナ・シュウェップスや、2013年の英グラクソ・スミスクラインの飲料事業など、積極的に買収を手がけ、投じた金額は清涼飲料事業だけで6000億円以上にのぼる。
「グループの生業なんでしょうけれど、トップラインの成長を常に追い掛けている」(鳥井社長)という姿勢が、巨額のディールに踏み切らせたようだ。今回の買収で、売上高は1000億円程度上乗せされ、目標に一歩近づく形となった。
現HD社長、新浪氏の後継は?
ただ、未上場の親会社・サントリーホールディングス(HD)と異なり、サントリー食品は上場企業だ。今後決算ごとに買収効果に関して、株主に説明する責任がある。シナジー創出に失敗すれば、創業家出身とはいえ、一定の経営責任を問われかねない。
鳥井社長はサントリー創業者・鳥井信治郎氏のひ孫で、現サントリーHD会長・佐治信忠氏から見ると、いとこの子に当たる。以前から佐治会長の後継と目されていたが、40代とまだ若いこともあり、HD社長にはローソン前社長の新浪剛史氏が2014年に就任した。鳥井社長は事業会社で実績を挙げて、HD社長にふさわしい器となることが期待されている。
今回の買収を成功させ、社内外で求心力を高めることができるのか。結果次第では、HD次期社長の道にも黄信号が灯りかねない。
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