大阪で愛される「日本一」のお米屋さんの秘密

会社は"トンチ力"で、こんなに元気になる!

それは「ビニールのゴミ袋」です。社員は「1・1・2運動~私は参加しています~」と書かれたビニールのゴミ袋を全員持たされているのです。もしぞんざいに扱ってどこかで無くしたら、「1000円!」と言われて、会社の売店で買わなあきません。社章と同じくらい大事、ということです。

袋を片手にゴミを拾う社員たち

ただボクは、拾うゴミがたった2つかい、中途半端やなぁ、5つとか10とか多くしたら、もっときれいになるのに、と思いました。それで会長に「数を多くしたらもっときれいになりますよ」と申し上げました。そしたら会長さんが「竹原さん、それはあかんのです」とおっしゃるんです。

「例えば、1・1・10にしますやろ。そうすると、社員も最初は調子に乗って、10個のゴミを一生懸命集めよる。そやけど、仕事の忙しい時は必ず来るねん。大変や。仕事は残ってる、ゴミも拾われへん。どないしょ、と思いますわ。そしたら、今日はゴミは8つでいいか。そうなったら、次の日、今日は6つでいいか、となるわけです。それで1カ月も経たんうちに、ゴミを拾わなくなります。あまり高い目標を掲げると、途中でできつくなって、ゼロになってしまう。オール・オア・ナッシングです。でも、竹原さん、1人1日2つですよ。2つぐらいなら、誰でも、なんとか拾えるでしょ」

取引先のゴミを拾ってお得意さん獲得

ここから大事な話です。誰でもできる簡単なことを続けること、これが会長の決めゼリフなんです。

幸南食糧さんでは、社員は扉を閉める時、必ず頭を下げます。それで、他の会社に行った時でも、扉を閉める時、自然と頭を下げます。そうすると、そこの会社の社員は「おッ、幸南食糧の社員はいつも頭下げよる。礼儀正しい会社やな」となるわけです。誰でもできる簡単なことを長く続ける、これって習慣付けになるんです。それで習慣は、「しつけ」になります。「凡事徹底」です。

ここの営業マンが、給食センターにコメを売りに行きました。たまたまその給食センターにゴミが落ちてました。いつも自分とこでゴミ拾いしてるから、ついついよその会社のゴミを拾って、例のビニール袋に入れて持って帰ったんです。それを給食センターの社長が見ていました。

「あの幸南食糧の社員、自分とこでもないのにゴミ拾ってったわ」と、感動しました。それで、川西さんのとこへ電話をかけました。

「あんたんとこの社員はスゴイな。うちのゴミ、拾ってったわ。そんな社員教育をしてる会社のお米はマチガイないでしょう、うちはこれからも、おたくからずっとお米を買わせてもらいますわ」そう言われたそうです。ゴミ拾いが、営業につながったわけです。

ここの会社の工夫は、もちろん、それだけではありません。

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