言えば言うほどミスが出る、中国の「政府報道官」受難の時代
「言えば言うほどミスを繰り返す」政府報道官に、批判の声が強まっている。背景には、報道官は詳しい事情を知らされていないままに記者たちの質問に対峙し、「何かを言わなければならない」立場がある。中国の政府報道官は受難の時代を迎えているともいえそうだ。
典型的な事例は、7月23日に起きた高速鉄道事故での、鉄道省の報道官(当時)・王勇平氏に対する批判だ。事故後に行われた8分間の記者会見で、王氏はその名を天下に知らしめることとなった。会見で王氏は、個性的な言葉を駆使し、報道官特有の職業的なスマイルで対応した。しかし、高速鉄道に対する不信感や事故処理への不満などが高まり、そのすべてが王氏に向けられた。
そんな中、鉄道省は8月16日、王氏をポーランドの鉄道協力関連機構の中国側スタッフとして転任させる人事異動を発表した。王氏は赴任前に国内メディアに対して、「これからはメディアと接触しないことにする。静かな暮らしをしたい」とつぶやいたそうだ。
SARSを機に“輸入”された制度
鉄道事故前の6月にも一騒ぎがあった。衛生省(日本の厚生労働省に当たる)の毛群安広報部長が食品安全フォーラムで発言し、メディアに関するブラックリストを作るべきと主張したからだ。これはインターネット上で大問題となり、「記者を管理するより、食品安全性を高めることが重要」との主張が噴き出した。
毛氏はさらに窮地に陥った。6月27日、国務院のマスコミ管理機関である新聞出版総署が、いかなる組織や個人も、マスコミまたはジャーナリストの合法的な取材活動を邪魔したり、「記者のブラックリスト」を作ったりしてはいけない、との通知を出したことだ。