「日鉄のUSスチール買収」アメリカが拒否反応の訳 アメリカが政党関係なく保守主義に走る背景

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(写真:Justin Merriman/Bloomberg)

日本製鉄の最近の株主総会で、経営陣はUSスチール買収の政治的障害の懸念を最小限に抑えた。森高広副社長は不安げな株主に対し、「アメリカ大統領選挙が終われば、政治的な側面は消えるだろう」と語った。

また別の幹部は、ジョー・バイデン大統領が買収を支持していないことと、ドナルド・トランプ前大統領による「即座に」買収を「絶対に」阻止するという宣言のどちらも否定した。

USスチールの本拠地であるペンシルベニア州が大統領選の激戦州にあることからこれは政治的な「ポーズ」に過ぎないという希望的観測に基づくもので、この幹部は「どの候補者が大統領になろうとも、おそらく選挙が終われば冷静な見方をするだろう」と加えた。

USWが政治に与える圧倒的な影響力

確かに、選挙の年はUSW(全米鉄鋼労組)の影響力が増す。もっとも、同組合は選挙がない年であっても、またその要求が経済全体に打撃を与える場合であっても、圧倒的な政治力を持っている。

例えば、アメリカでは鉄鋼の工場労働者は14万人だが、自動車や部品の工場労働者は100万人いる。それでも2018年、トランプは鉄鋼の輸入関税を引き上げ、バイデンはその関税をほぼ維持した。自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターはそれぞれ、関税は年間10億ドルのコスト増となり、競争力と雇用に打撃を与えると述べた。

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