東芝「不適切会計」とは、何だったのか 1500億円以上の利益をカサ上げした背景とは

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その後は次なる柱を探すべその後は次なる柱を探すべ く、スマートメーター(次世代電力計)やETC(自動料金収受システム)など、新規事業の開拓に奔走。中でも不適切会計の象徴となったのがインフラ事業のスマートメーターだ。2013年9月に受注、2013年度だけで、255億円の営業益をカサ上げした。経験のない案件で、損失が見込まれていたにもかかわ らず、無理に受注したことから、実績作りを優先していたことがわかる。その後も、ヘルスケア事業などに力を注いだが、目立った成果はない。

リーマンショック前には、ピーク時の2007年度で7.6兆円に達した売上高も、2012年度には5.8兆円まで大幅減。一方で日立製作所が行ったように、 不採算事業にはメスを入れられなかった。第三者委は東芝を「当期利益至上主義」と断じたが、不適切会計を起こしたのも、厳しい環境下、目先の安易な手段に 頼った帰結ではなかったか。

振り返ると東芝は2003年に委員会設置会社に移行。社外取締役も招き、コーポレートガバナンス(企業統治)の模範企業とされて、東芝自身もそれに誇りを持っていた。

ガバナンスの設計にも欠陥があった

だがその実態は、「ガバナンスの設計に欠陥があった」(西室泰三・東芝相談役)。第三者委によると「監査委員会による内部統制機能が働いていなかっ た」と指摘されている。監査委員長は社内の元財務担当。委員には3人の社外取締役が入っていたが、「財務・経理に十分な知見を有している者はいなかった」 (第三者委)。仕組みはあれど、運用に問題があり、完全には機能していなかったのだ。

一連の問題を受けて東芝は、取締役の過半数を社外から選ぶこと に決定。社外の取締役や専門家で構成、再発防止策などを検討する、「経営刷新委員会」を立ち上げる。次の焦点は8月中旬に発表される新経営体制になるだろ う。が、実質的に9月以降の新トップを決めるのは、刷新委か、指名委員会委員長か、それとも室町社長兼会長なのか、いまだ判然としない。

今後は東芝に対し、金融庁からの課徴金納付命令、東京証券取引所による特設注意市場銘柄への指定、さらには役員に向けた株主代表訴訟など、いくつもの試練が待ち構える。一度失った信頼を取り返すため、東芝が進む道のりはあまりに険しい。

                       (撮影:尾形文繁)

「週刊東洋経済」2015年8月1日号<7月27日発売>「核心リポート01-1」を転載)

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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